TIPS、使い方のコツ
ハードウェアに関するFAQ
Q[レシーバー] AV検波とCISPR AV検波の違いは何でしょうか
CISPR AV検波は2002年のCISPR16-1-1 Amendment2で規定された検波です。アナログレシーバのメータの針のレスポンスを現在のデジタルレシーバでも模擬するように、時定数が規定されています。
時定数が規定されたことにより、低い繰返しのノイズを測定する場合に従来のAV検波と比較するとCISPR AV検波の測定結果の方が高くなります。急峻なインパルスが来ても一定の遅れで立ち上がり、一定の遅れをもって小さくなります。そのためQP検波器と同様1回の評価時間が長くなるのです。
さらにEMCエンジニアがAverage測定している場合であっても常にメーターが最大に振れたときの値を記録することを考慮し、メーターの針が揺れるような変動のあるノイズについては、一定の時間Dwell time内の最大値を表示するようにしています。ここが、従来のAverage検波器と大きく異なるところです。
CISPR 16-2-3 (Ed.4) Annex C Figure C.1には、繰り返し周波数に対して、PK, CISPR AVおよび従来のAV検波の結果の違いが示されています。5Hz以下の繰り返し周波数において、CISPR AV検波の方が従来のAV検波よりも大きな値を示し、繰り返し周波数1Hzの場合にBand B(150kHz-30MHz)で最大7.4dB、Band C・D(30MHz-1000MHz)で最大11.3dBほどレベルが異なります。
このため、CISPR-AverageとAverage検波器では、原理的に、メーターの持つ時定数によりレベルの指示が安定するノイズについては、レベル差がありません。
一方でメーターの針が揺れ動く、例えば繰り返し周波数がおよそ10Hzより小さいインパルスの場合にレベル差が生じ、メーターの揺れが最大に振れる値を示すCISPR-Averageが高い値を表示します。
Q[レシーバー] Keysight N9048B PXE EMI test receiverの画面上に[Characterize Noise Floor required]と表示されます
以下の手順にて調整を実行して下さい。調整は約2時間かかります。ご注意下さい。
手順
画面右上の歯車アイコンをタップします。

[Alignments] - [Advanced] - [Characterize EMI Receiver Noise Floor]の順にタップします。

RF Inputポートからケーブルを抜くこと、及び、Alignmentに約2時間かかる旨のメッセージが表示されます。
問題がなければ[OK]をタップして調整を実行して下さい。

Q[レシーバー] Keysight N9048B PXE EMI test receiverにACコードを接続すると自動起動します
製品仕様の動作です。故障ではありませんので安心してご使用下さい。
BIOSの自動パワーオン機能 (Restore AC Power Loss)を利用して外部電源が供給された際に電源が自動的に入るように設定されています。
ただし、製品出荷時期によっては、本設定が適用されていない個体があります。留意下さい。
Q[レシーバー] R&S ESWをGPIB制御していると、管面に“-410 Query interrupted”というメッセージが表示されます
この設定をOFFにすることにより、表示されなくなります。これはGPIB制御でRemoteモードになると表示されますが、測定に影響を与えるものではありません。
<Display Remote Errors設定画面>

Q[アンテナ] CISPR25試験で使用する場合、3301C型ロッドアンテナのエレメント長さは1mで良いでしょうか
CISPR25試験ではロッドアンテナのエレメント長は1mとなっておりますので、ETS社製3301C型アクティブロッドアンテナに付属する3つのアンテナエレメントのうち、短い(40mm)エレメントは接続せず、2つのエレメントのみを接続してご使用ください。
なお、MIL-STD-461などの試験の場合、3つのエレメント全てを接続して長さ1.04mのエレメントとしてご使用ください。

QRFパワーアンプの使用方法
MILMEGA社製80RF1000シリーズ
<<注意:RFパワーアンプを使用する前に、RF INPUTに信号が入力されていないこと、RF OUTPUTにアンテナなどのトランスデューサーが接続されていることを確認してください。>>
起動方法
リアパネルの“MAINS SWITCH”をONにします。
フロントパネルの“STANDBY”ボタンを押します
フロントパネルの“ON”ボタンを押します。
<<注意:電源投入直後は内部の温度変化によりゲインが安定しないため、20~30分間ヒートランを実施してください。ヒートランの際はRF INPUTに信号を入力して実施してください。>>
終了方法
フロントパネルの“STANDBY”ボタンを押します
フロントパネルの“POWER SAVE”ボタンを押します
リアパネルの“MAINS SWITCH”をOFFにします。
MILMEGA社製ASシリーズ
<<注意:RFパワーアンプを使用する前に、RF INPUTに信号が入力されていないこと、RF OUTPUTにアンテナなどのトランスデューサーが接続されていることを確認してください。>>
起動方法
下図5番が電源ボタンになります。この電源ボタンをONにします。
フロントパネルのLINEの“ON”ボタンを押します
フロントパネルのRFの“ON”ボタンを押します
<<注意:電源投入直後は内部の温度変化によりゲインが安定しないため、20~30分間ヒートランを実施してください。ヒートランの際はRF INPUTに信号を入力して実施してください。>>
終了方法
フロントパネルのRFの“STANDBY”ボタンを押します
フロントパネルのLINEの“STANDBY”ボタンを押します
下図5番が電源ボタンになります。この電源ボタンをOFFにします。
Ametek社製CBAシリーズ(末尾が“B”のモデル)
<<注意:RFパワーアンプを使用する前に、RF INPUTに信号が入力されていないこと、RF OUTPUTにアンテナなどのトランスデューサーが接続されていることを確認してください。>>
起動方法
フロントパネルの“AC POWER”をONにします。
ディスプレイ内の“GAIN”が100%になるように“△▽”ボタンで設定します
ディスプレイ内の“STBY OPRT”ボタンを押します。ボタンが緑色に点灯し、STATUSがOPERATEに変わることを確認します。
<<注意:電源投入直後は内部の温度変化によりゲインが安定しないため、20~30分間ヒートランを実施してください。ヒートランの際はRF INPUTに信号を入力して実施してください。>>
終了方法
ディスプレイ内の“STBY OPRT”ボタンを押します。ボタンが消灯し、STATUSがSTANDBYに変わることを確認します。
フロントパネルの“AC POWER”をOFFにします。
Ametek社製CBAシリーズ(末尾が“D”のモデル)
<<注意:RFパワーアンプを使用する前に、RF INPUTに信号が入力されていないこと、RF OUTPUTにアンテナなどのトランスデューサーが接続されていることを確認してください。>>
・起動方法
フロントパネルの電源ボタンを"I"に倒し、起動します。
ディスプレイ内の“GAIN”が100%になるように“△▽”ボタンで設定します

ディスプレイ内の“Standby/RF ON”ボタンを押します。RF Onの表示が白色に変わり、Standbyの表示が灰色に変わること、StatusがRF ONに変わることを確認します。

<<注意:電源投入直後は内部の温度変化によりゲインが安定しないため、20~30分間ヒートランを実施してください。ヒートランの際はRF INPUTに信号を入力して実施してください。>>
・終了方法
ディスプレイ内の“Standby/RF ON”ボタンを押します。Standbyの表示が白色に変わり、RF Onの表示が灰色に変わること、StatusがStandbyに変わることを確認します。
フロントパネルの電源ボタンを"O"に倒し、終了します。

QJSE社製2mラージループアンテナのファクターは0dBで良いでしょうか
1[V/A]の電流トランスがラージループに内蔵されておりますので、デシベルに変換すると0 dBとなります。
(CISPR16-1-4規格に記載のラージループアンテナの構造です)
なお、ラージループアンテナの校正証明書に記載されているValidation Factorは、付属のダイポールアンテナへ信号を送信して、ラージループアンテナに誘起された電流を上記の「0 dB」のファクターで測定した際の結果です。
Validation FactorがCISPR16-1-4規格の値(例えば、9kHzで約74dBΩ)であることによりラージループアンテナが正常であることを確認しています。このValidation FactorをEMC測定で補正値として使用するわけではありません。
QPONTIS社foLIN型光LIN変換器を使用して通信できない
点灯していない場合、foLINに接続されているLINバスからfoLINのPIN9(Vbat)へ12VDCが供給されているかを確認してください。

PONTIS社製foLIN型光LIN変換器はバッテリーを内蔵しており、Ext PowerとBus Powerを切り替えて使用できます。ただし、Ext Power、Bus Powerのどちらの場合においても製品外部のLINバスからの12VDC供給が必要です。LINバスではバスの12VDC電源を基準電圧として通信するため、foLINとDUTは同じ基準電圧に接続される必要があるためです。
foLINのExt PowerとBus Powerの使い分けは以下のとおりです。
・Bus power
foLIN内部の全ての電子部品がLINバスからの給電より駆動します。
この場合はfoLINの内蔵バッテリーは使用しません。
foLINのバッテリー残量が少ない場合でも使用できる利点があります。
・Ext power
foLIN内部のLINトランシーバーのICのみLINバスからの給電により駆動します。
foLIN内部のその他の電子部品は内部バッテリーから給電されます。
LINバスの電流消費を抑えられる利点があります。
QCom-Power社製CGC-255Eは230VACを入力しても使用できますか
CGC-255Eは最大230V(ACまたはDC)の電源に接続した状態で動作する製品です。
他メーカーのコムジェネレーターでは、100Vや230Vの電源を接続すると故障する場合があります。ご注意下さい。
QN9048B(PXE)のタッチ位置がずれる
N9048B(PXE)を外部ディスプレイに接続して使用している場合、外部ディスプレイの解像度によってはタッチ位置がずれます。
タッチ操作をする場合は外部ディスプレイを接続しないか、外部マウスによる操作をご検討ください。
QClick Rate Analyzerソフトウェアにて4-Channelが設定できない
R&S製ESR型EMIテストレシーバー(ESR-B50オプション搭載)やESW型EMIテストレシーバーをご使用頂いた場合、4-Channelのクリック同時測定が可能です。
ただし、Click Rate Analyzerをレシーバーのリモート制御用PCにインストールし、GPIB接続にてレシーバーと接続して使用した際には、不安定な動作を示して4-Channelが設定できないことがまれに報告されています。
Click Rate Analyzerをレシーバー本体にインストールして使用するか、リモート制御用PCにインストールして使用する場合はLAN接続を利用して頂くようお願いします。

QRohde & Schwarz製 BBA150型 パワーアンプ用 LAN-GPIBコンバータ(ICS社製4865B型)の設定方法
①4865Bの電源投入
②PCと4865BをLANケーブルで接続
Rohde & Schwarz製パワーアンプにはクロス配線のLANケーブルが付属しております。PCと4865Bをこのクロス配線のLANケーブルを用いて1対1で接続します。クロス配線のLANケーブルが無い場合は、スイッチングハブなどを介してPCと4865Bを接続します。
③PCのIPアドレスを次のように設定
IPアドレス(例):192.168.2.100
サブネットマスク:255.255.255.0

4865BのIPアドレス(Rohde & Schwarz社出荷時)
IPアドレス:192.168.2.123
サブネットマスク:255.255.255.0
なお、4865BのICS社での出荷時IPアドレスは以下の通りですが、Rohde & Schwarz社製パワーアンプへアクセスできるようにRohde & Schwarz社により上記のIPアドレスが設定されているようです。
4865BのIPアドレス(ICS社出荷時)
IPアドレス:169.254.48.65
サブネットマスク:255.255.255.0
④Webブラウザでhttp://192.168.2.123を検索

⑤Go to configuration pageをクリック
⑥下記の通り設定
※GPIBアドレスは任意に設定
※Instrument IP Addressはアンプ本体の設定と合わせる
※4865B Gateway Addressは192.168.2.10等、4865Bと同じサブネット内となるように設定

⑦Update Flashをクリック
⑧4865Bを再起動
Qバッテリータイプの測定器の充電時間、動作時間

注意:ここに記載している時間はおおよその目安の時間になります。バッテリーの状態、保管期間、充放電の回数などにより影響を受けますので、ご注意ください。
Q[アンテナ] 3301C型アクティブロッドアンテナの校正証明書が2種類添付されています。CISPR25試験ではどちらのアンテナファクターを使用すればよいでしょうか
1. SAE, ARP-958 – 2003準拠 10 pF Cal Block使用
2. ANSI C63.5 – 2017 及び CISPR 16-1-6: 2017+AMD1:2017準拠 12 pF Cal Block使用
測定される規格によって適切なものをご使用いただければと思います。
たとえば、CISPR25 Ed.5.0:2021規格では、ロッドアンテナの校正方法としてCISPR 16-1-6:2014を参照しており、これは12 pFでの校正です。このため、CISPR25 Ed.5.0:2021試験では、2. [ANSI C63.5 – 2017 及び CISPR 16-1-6: 2017+AMD1:2017準拠 12 pF Cal Block使用]のアンテナファクターをご使用ください。
また、CISPR25 Ed.4.0:2016規格では、ロッドアンテナの校正方法としてCISPR 16-1-4:2010を参照しており、これは10 pFでの校正です。このため、CISPR25 Ed.4.0:2016試験では、1. [SAE, ARP-958 – 2003準拠 10 pF Cal Block使用]のアンテナファクターをご使用ください。
QEUTからケーブルが1本しか出ていない場合のCDNを使用した伝導イミュニティ試験のセットアップはどのようにすればよいのでしょうか
この場合の試験セットアップについて、明示的にはリターン経路は作れませんが、実際の使用状況を優先し、リターン経路は筐体とグラウンドプレーンとの浮遊容量と考えて、EUTに接続するCDNは1台のままで試験を実施します。
また、そのEUTがユーザーが手で触って操作するものである場合は、擬似手を配置する必要があります。その場合、擬似手もリターン経路になります。
Q[アンテナ] Schwarzbeck社製STLP9149型Stacked Log Periodic Antennaの偏波面はどのように判別するのでしょうか
アンテナ背面から見ると、偏波面(Polarization Plane)を示す線が記されています。線が水平方向の場合は水平偏波、線が垂直方向の場合は垂直偏波です。
Q[アンテナ] ETS-Lindgren社製3301C型アクティブロッドアンテナのアンテナファクタに[All switches in the OFF position], [Switch "10dB Attenuator" in the ON position]等の記載があります。どのファクタを使用すればよろしいでしょうか。
各設定の状態でのアンテナファクタがそれぞれ提供されておりますので、本体の設定に応じたアンテナファクタを使用して下さい。
・内蔵10dBアッテネータ
・内蔵30dBアッテネータ
・1.9 kHz Low frequency roll off
・22 kHz Low frequency roll off

例えば、以下のような場合に設定を切り替えて使用します。
- 最高感度の状態で測定するため、DIPスイッチをAll OFFとして使用する(多くの場合はこの設定でご使用頂いております)
- 測定対象外の低い周波数にアクティブロッドアンテナの内蔵プリアンプの飽和につながるような大きなレベルの信号がある場合、Low frequency roll offをONに設定する
- 測定対象内の周波数にアクティブロッドアンテナの内蔵プリアンプの飽和につながるような大きなレベルの信号がある場合、内蔵アッテネータをONに設定する
内蔵DIPスイッチの設定確認方法は以下の通りです。(*1)
- 本体のパワースイッチをOFF/CHG位置に切り替えます。
- モノポールエレメントとカウンターポイズを取り外します。
- 本体へ接続されているケーブルを全て取り外します。
- 本体を裏返し、下面を上に向けて平らな場所に配置します。
- プラスドライバーを使用して下面の外周付近にある8箇所のネジを外します。下面の蓋を取り外して内部のボードを露出させます。
- DIPスイッチの設定を確認または変更します。
- 蓋を取付、ネジを締め直します。ネジの締め過ぎに注意して下さい。
- 取り外したエレメントやケーブルを再び取付けます。
*1 詳細な手順については、製品のマニュアルを参照して下さい。
Q[アンテナ] Schwarzbeck社製Double Ridged Broadband Horn Antennaの偏波面はどのように判別するのでしょうか
コネクタ端子、またはアンテナ内部のエレメントの向きが偏波面になります。
・水平偏波

・垂直偏波

Q[アンテナ] 以下のアンテナはCISPR 16-1-4: 2010規格の4.5.5 Cross-polar response of antennaの要求を満足していますか?
- VULP9118A型をはじめとするログペリオディックアンテナVULPシリーズ
- VULB9168型をはじめとするトライログアンテナVULBシリーズ
- USLP9143B型ログペリオディックアンテナ
- VHA9103B型バラン + BBA9106型バイコニカルエレメント
- VHBB9124型バラン + BBA9106型バイコニカルエレメント
Q[レシーバー] R&S社製 ESU型 EMIレシーバーで3.6GHz以上を設定できない
以下の手順で内蔵プリアンプをOFFに設定することで3.6GHz以上も設定できます。
1. [AMPT]ハードキーを押す
2. ソフトキーにて[PREAMP OFF]を選択