FAQ

TIPS、使い方のコツ

エミッションソフトウェア(EP5、EP7、EP9、EPX、ES10)

ID.

Q. [EPX] レシーバースキャン測定において、WIDEBAND / NARROWBANDの使い分け方

A.


Narrowbandを選択して測定を行うとFFT帯域幅は最大59MHzになりますがCISPR規格に無条件に完全適合します。

Widebandを選択するとFFT帯域幅は最大350MHzとなり、高速またはモニター時間を十分な値にして測定できますが、特殊なパルスを除いてCISPR規格に適合する(※)という条件付きになります。ただ、この特殊なパルスは、ほとんどの電子機器からは出力されません。出力されたとしても許容値に十分なマージンを持つことが多いのです。

測定時間が何倍も速いWidebandを安心して使っていただくためにEMI評価ソフトウェアEPXはどのノイズも特殊なパルスかどうかを自動で判定する機能がついています。これにより仮に特殊なパルスが存在したとしても自動でNarrowband に切り替えそのノイズだけ再測定します。
特殊なパルスかどうかの見分け方は簡単でPK値とQP値のレベル差を確認してください。30MHz以上の場合は、その差が21dB以下ならばCISPRに完全適合した値ということができます。

※CISPR16-1-1 5.2.2 Variation with repetition frequency (relative calibration)になります。
これは数百pSecのパルス幅を持つ特殊なインパルスの繰り返し周波数を変化させてそのQP検波器の応答を規定しているのですが、繰り返し周波数が数HzになるとPK検波器は高い値を示すものの、QP検波器はほとんど反応しなくなり、両方を正しく示さなければいけないEMIレシーバーにとって相当広いダイナミックレンジを必要とします。
従来のレシーバーは広い帯域を一度に測定する必要がなかったので良かったのですが、350MHzなど広い帯域を一度に測定する場合は、数Hzの特殊インパルスを測定する時だけはダイナミックレンジが不足し、QP検波の場合にノイズフロアにうずもれてしまい、実際より少し高い値を表示します。
ただ、実際のエミッション測定ではこのような特殊なノイズを発生するEUTは極めてまれで、CISPR規格も300MHz以上の測定では、このダイナミックレンジが不足するような繰り返し周波数のパルス応答の要求は規定ではなくなっています。またこれはQP検波だけ適用されます。

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