TOYO Fader Times                       2026/9/24  Vol.16

次世代無線通信の技術動向と評価環境のポイント
~6Gで注目される「FR3」とは?~

無線通信の周波数帯は一般的に以下のように分類されています。

  • FR1 (Sub7GHz) :450MHz~7.125GHz
  • FR2 (ミリ波) :24GHz以上
  • FR3 (センチ波) :おおよそ7GHz~24GHz

FR3は、従来の5Gで利用されてきたFR1と、超高速通信を実現するFR2 (ミリ波) の中間に位置する周波数帯です。特に6Gでは、7GHz~24GHz付近のセンチ波帯が有力候補として注目されています。
本記事では、FR3が注目される背景と、Wi‑Fi 7/8や5G Advanced、6Gで求められる評価環境について、VIAVI社のRFチャネルエミュレータ「Vertex」を例にご紹介します。

なぜFR3が注目されているのか?

  1. FR1の周波数資源が限界に近づいている
    5Gの普及により、Sub6GHz帯は既に利用が進んでおり、今後6Gで求められるさらなる高速化・大容量化を実現するには追加の周波数資源が必要になります。
  2. ミリ波ほど伝搬損失が大きくない
    FR2 (ミリ波) は非常に広い帯域を確保できますが、基地局密度が必要/屋内浸透性が低い遮蔽物の影響を受けやすいという課題があります。
    一方FR3は、FR1より広い帯域を利用可能/ミリ波より伝搬特性が良好/セルラー利用に現実的という特徴を持ちます。
    6Gでは「高速・大容量」と「実用的なエリア展開」の両立が期待されています。
  3. 6Gの新サービスを支える帯域
    6GではAI Native Network、XR/メタバース、超高速アップリンク、デジタルツイン、ISAC (Integrated Sensing and Communications) などの技術が検討されています。
    これらは5Gよりも広帯域無線環境を必要とするため、FR3が有力視されています。

Wi-Fi 7/8、5G Advanced、6Gで共通して求められる評価環境とは?

WiFiとモバイル通信の無線規格は異なりますが、開発現場で求められる評価環境には共通する要件があります。

1.広帯域評価

  • Wi-Fi 7/8
    arrow_right最大320MHz帯域幅
    arrow_right4096QAM
    をサポートする必要があります。

    arrow_forward「Vertex」の新RFモジュールはこれらをネイティブにサポートしています。

  • 5G Advanced / 6G
    FR3では
    arrow_right最大1GHz瞬時帯域幅
    arrow_right広帯域キャリアアグリゲーション
    が求められます。

    arrow_forwardFR3 MIMO Converterは1GHz帯域幅に対応しています。

2.高次MIMO評価

次世代無線ではスペクトル効率向上のためMIMOが重要です。

  • Wi-Fi 7/8:2x2~8x8 MIMO
  • 5G Advanced:Massive MIMO
  • 6G:さらに大規模なMIMO構成

    arrow_forwardFR3 MIMO Converterは最大16x16 MIMOまで拡張可能なFR3評価環境を提供します。

3.実環境の無線伝搬再現

実フィールドでの性能を評価するには、

  • マルチパス
  • フェージング
  • ドップラー
  • 移動環境

    などを高精度に再現するチャネルエミュレーションが必要です。

    arrow_forwardVIAVI Solutions Inc.社 (VIAVI社) は「現実世界を高精度かつ再現性高く再現する試験環境」をVertexの特徴として掲げています。

4.周波数帯を跨いだ一貫した評価

今後の端末は、

  • Wi-Fi 7/8 (5GHz/6GHz)
  • 5G FR1
  • 6G FR3

  • を単一デバイスに統合していくことが予想されます。
    そのため評価装置にも、

  • Sub7GHz
  • FR3
  • 将来の6G候補帯域
    を同一プラットフォームで扱えることが求められます。

    arrow_forwardVertexはFR1からFR3までを単一環境で評価可能としています。

5.将来規格への拡張性

研究開発では設備の長期活用が重要です。
Vertexは

  • FR1最大7.125GHz対応
  • Wi-Fi 7/8対応
  • FR3 MIMO Converter追加による23.6GHz対応
  • 既存シャーシを継続利用可能

というアーキテクチャを採用しており、5G Advancedから6Gへの移行に対応できます。

FR3 (センチ波) は、FR1のカバレッジ性能とFR2の広帯域性を両立できる6Gの有力候補周波数帯として注目されています。そのため、Wi-Fi 7/8、5G Advanced、6Gの研究開発では、広帯域 (320MHz~1GHz) /4096QAM対応/Massive MIMO対応/実環境チャネル再現/FR1からFR3の統一評価/将来規格への拡張性を備えた評価環境が共通して求められます。

「Vertex」は、これらの要求に対応する統合型RFチャネルエミュレーションプラットフォームとして位置付けられており、5G Advancedから6G研究までシームレスな評価環境の構築を可能にします。
Vertexの新しいRFモジュールおよびFR3 MIMO Converterは、このFR3帯 (最大23.6GHz) に対応し、5G Advancedから将来の6Gまでを見据えた評価環境を提供しています。

Vertex 新RFモジュール

Vertex 新RFモジュール

FR3 MIMO Converter

FR3 MIMO Converter