IQM × 東陽テクニカ 共に切り拓く日本の量子コンピューティング新時代

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目次
  1. IQM社と東陽テクニカのパートナーシップ
  2. 東陽テクニカはなぜ量子コンピューターを自社で保有するのか
  3. 日本における量子技術の社会実装に貢献
  4. フィンランド経済大臣による東陽テクニカ来訪
  5. 東陽テクニカの量子ソリューション事業

IQM × 東陽テクニカ 共に切り拓く日本の量子コンピューティング新時代

2025年7月、東陽テクニカは、量子コンピューターをグローバル展開するフィンランドのIQM Quantum Computers(アイキューエム・クオンタム・コンピューターズ)と販売代理店契約を締結し、量子ソリューション事業に参入しました。

2026年4月には、IQM社の超電導型量子コンピューター「IQM Radiance(アイキューエム・ラディアンス)」の導入を決定しました。2026年末までに納品が予定されています。

今回は、IQM社 CEO Jan Goetz(ヤン ゲッツ)氏と、東陽テクニカ 代表取締役 社長執行役員 高野 俊也(こうの としや)が、両社のパートナーシップや、IQM社製の量子コンピューターを日本に導入する意義について語ります。

量子コンピューターとは?
量子力学の性質を利用して計算を行うコンピューターで、特定の分野では圧倒的に高速な計算が可能になる。次材料・新薬の開発、物流や金融ポートフォリオの最適化、金融取引の不正取引検知、防衛・金融資産に関わる暗号解析などあらゆる分野において、従来のコンピューターでは処理が困難な複雑かつ膨大な計算を高速に実行できる可能性を持つことから、次世代基盤技術として注目を集めている。

IQM社と東陽テクニカのパートナーシップ

IQM社と東陽テクニカは2025年7月にパートナーとなり、2026年4月に東陽テクニカは量子コンピューターを発注しました。この取り組みは両社にとってどのような意味を持ちますか

ゲッツ氏:IQM社にとって、東陽テクニカは日本での初めての顧客です。私たちが重視しているのは、先端技術企業とパートナーを組むことです。その点、東陽テクニカは最先端の計測機器や複雑なシステムに精通しており、ハードウェアに直接アクセスできる環境の価値を深く理解しています。量子技術は、実機に触れ、インフラを自社で運用することで成長していくものです。東陽テクニカは、今回の実機導入によって、「自らの手で量子の未来を切り拓く」という意思を示したと捉えています。

高野:本パートナーシップは、量子コンピューター分野で世界をリードするIQM社と、当社の事業領域との高い親和性を背景に実現したものです。当社は計測・解析・評価技術を軸に事業を展開してきましたが、量子技術を次の成長領域として位置づけています。今回の協業は、当社が新たな領域に踏み出し、日本における量子技術の実装を促進するための重要な一歩です。

両社のパートナーシップは、従来の枠組みを超えて、どのような価値を生み出すのでしょう

ゲッツ氏:量子エコシステムは、メーカーだけで作れるものではありません。企業、大学、政府、そしてHPC(High Performance Computing:高性能計算)の組織が一緒になって構築するものです。IQM社の役割は、そのためのプラットフォームを継続して提供できるよう、信頼を積み重ねていくことにあります。そして東陽テクニカは、長い年月をかけて築いてきた、日本の産業界との深い関係性を有しています。このパートナーシップは、単なる製品提供にとどまりません。日本が国をあげて量子の「力」を育てる取り組みそのものであり、私たちも大いに期待しています。

高野:我々の関係は、日本における量子技術の実装を見据えた戦略的パートナーシップです。ユースケース創出や人材育成まで踏み込み、価値創出を共同で推進していく点に本質があります。当社の計測技術や先端技術分野での知見による顧客ニーズの発掘と、IQM社の技術を組み合わせることで、量子コンピューティングの実用領域を具体化していきます。

「IQM Radiance」の前にて撮影

(左)株式会社東陽テクニカ 代表取締役 社長執行役員 高野 俊也
(右)IQM Quantum Computers CEO Jan Goetz
「IQM Radiance」の前にて撮影

東陽テクニカはなぜ量子コンピューターを自社で保有するのか

東陽テクニカが、いま量子コンピューターに投資することの意義はなんでしょう

ゲッツ氏:これまで、量子は「本当に必要なのか」が議論されていました。ですが、その問いの答えは出ています。いま問われているのは、各組織がどうやって量子技術を使いこなす力を育てていくのか、そして、その取り組みが遅れたときに、どんな機会を逃すのかということです。世界のお客様からは、自社施設に設置し、自社のインフラに組み込み、実際の業務や研究で使える「本物のマシン」が欲しいとの声が高まっています。東陽テクニカが、ハードウェアを自社で保有するということは、まさにその環境を手に入れることになります。

高野:量子コンピューティングを取り巻く環境は、この数年で大きく変化しています。技術の進展に加え、企業側でも具体的な活用を前提とした検討が進み、関心が研究段階から実装検討のフェーズへと移行しつつあります。実際に当社が販売を開始してから、実機による検証、HPCとの統合、アルゴリズム開発や人材育成など、より実践的なニーズが顕在化してきました。こうした変化を踏まえ、いまが量子コンピューターへの投資を判断すべきタイミングであると判断しました。

クラウドアクセスと比較して、量子コンピューターの実機を自社で保有することはなぜ重要なのですか

ゲッツ氏:クラウドアクセスは、量子コンピューティングに慣れるための入り口としてはとても良い選択です。しかし、それだけでは「技術を使いこなす力」まで育ちません。高度なユーザーがハードウェアを自社で保有するのには理由があります。いま重要なのは「主権性」、つまりデータや計算環境を自らコントロールできることです。これは単なるスローガンではなく、実際に調達の場面で求められるポイントでもあります。自社施設に置くハードウェア、自社インフラで動かすワークロード、社外に出ない知財、そしてチームの中で積み上がっていく知見。私たちはこれを「プロダクション量子」と呼んでいます。東陽テクニカが選んだのは、まさにこのアプローチです。

高野:量子コンピューティングの実用化を見据えたとき、クラウド提供だけではお客様の検証や技術習得の要求に十分応えられないと判断しました。実際に、実機による評価やHPCとの統合、量子人材の育成といったニーズが顕在化しており、より実践的な環境を求める声が多くあります。当社としては、こうしたニーズに応え、日本における量子技術の実装を前に進めるためにも、自らインフラを保有するという決断に至りました。

顧客にとって、実機へのハンズオンアクセスが重要である理由は何だと考えますか

高野:量子コンピューティングは理論と実機の間に大きなギャップがある技術です。実際にハードウェアに触れることで、その特性や制約を理解し、より現実的な検証や判断が可能になります。こうした実践的な経験が、活用に向けた取り組みを前に進めるうえで不可欠だと考えています。また、クラウド利用ではリスクを伴うお客様のデータの機密性を担保することができます。

「IQM Radiance」

「IQM Radiance」

日本における量子技術の社会実装に貢献

日本の量子コンピューティング市場をどのように見ていますか

高野:日本は、材料開発や高度な製造分野において世界的な競争力を持ち、量子技術の適用余地が大きい市場です。加えて、国家レベルでの研究開発も進んでおり、技術基盤は整いつつあります。一方で、企業の人材教育や実用化の面ではまだ発展途上にあり、これから市場が立ち上がっていく段階にあります。こうした状況にある日本は、量子コンピューティングの実用化に向けた重要な市場であり、大きな成長機会が存在すると考えています。

量子コンピューティングの社会実装を進めるうえで、教育や人材育成はどのような意味を持つのでしょう

高野:量子コンピューティングの実用化においては、人材が最も重要な要素の一つだと考えています。特に、将来的にFTQC(誤り耐性を備えたフォールトトレラント量子コンピューター)が実用化された際には、各企業・団体にそれを使いこなせる人材がいなければ十分な価値を引き出すことはできません。いわばインフラだけが先行しても意味がなく、人材とセットで初めて社会実装が進むと認識しています。当社はIQM社製の量子コンピューターを日本に導入することで、実機に触れられる教育・研究環境を提供し、将来を見据えた実践的な人材育成に取り組んでいきます。

日本の量子分野にどのような変化が起こることを期待されていますか

ゲッツ氏:エコシステムというものは、時間とともに積み上がっていくものです。ひとたび国として本物のインフラを持てば、その先が動き出します。研究者は産業界のパートナーを見つけ、大学は専門人材を育て、企業は具体的なユースケースを見いだし、政府は大規模な投資を行うようになる。ただし、こうした動きは、実機が存在して初めて始まります。量子の時代とは、単にマシンが稼働することではなく、それを各組織が保有し、運用し、そこから新しい価値を生み出す段階に入って初めて本格化します。日本にはいま、そのためのハードウェアがあり、そしてそれを本気で活用しようとする組織も現れています。まさに、そのスタートです。

高野:量子分野は、今後の経済成長を支える重要な技術戦略分野であり、特に新しい「ものづくり日本」を実現する上で不可欠な技術だと考えています。当社がIQM社の量子コンピューターを導入することで、産官学を問わず、幅広いプレイヤーが実際に量子コンピューターに触れ、活用する機会が大きく広がることを期待しています。すでにHPCとの融合やユースケース開発、人材育成など、実用化に向けた競争は始まっています。IQM社と連携しながら、量子技術の産業への普及と社会実装を加速させ、日本がこの分野において世界をリードする存在になっていくことを期待しています。

フィンランド経済大臣による東陽テクニカ来訪

東陽テクニカがIQM社製量子コンピューターの導入を発表した翌月、2026年5月にフィンランド共和国経済大臣 Dr. Sakari Puisto(サカリ・プイスト氏)、駐日フィンランド共和国大使 Tanja Jääskeläinen(タンヤ・ヤースケライネン氏)、およびフィンランドの量子技術のスタートアップ企業が東陽テクニカのR&Dセンターを来訪し、レセプションイベントを開催しました。

フィンランド経済大臣 サカリ・プイスト氏

フィンランド経済大臣 サカリ・プイスト氏

IQM社 Chief Global Affairs Officer Juha Vartiainen(ユハ・ヴァルティアイネン)氏

IQM社 Chief Global Affairs Officer Juha Vartiainen(ユハ・ヴァルティアイネン)氏

セミナーの様子

セミナーの様子

また、同日に開催された駐日フィンランド大使館主催の「フィンランド量子技術&UAVsセミナー」では、当社 量子コンピューティング・カンパニー 部長の山下 泰久が登壇し、東陽テクニカがIQM社製量子コンピューターを導入することについて紹介するとともに、サカリ・プイスト経済大臣と井野経済産業副大臣とともに記念撮影を行いました。

セミナーの様子

出典:駐日フィンランド大使館のX

出典:駐日フィンランド大使館のX(@FinEmbTokyo)2026年5月25日投稿
https://x.com/FinEmbTokyo/status/2058827901961966039

東陽テクニカの量子ソリューション事業

量子コンピューター、量子センシング、量子人材の育成の面から量子技術の社会実装を推進

量子ソリューションのイメージ

東陽テクニカでは、量子コンピューター事業に加え、量子センシング事業にも注目しています。
2026年2月には、ダイヤモンド量子センサーが発する微弱光を検出する高感度イメージングカメラの製造・販売をする英国のRaptor Photonics(ラプター・フォトニクス) Limited と販売代理店契約を締結し、2026年4月には、スイスのQZabre(キューザブレ) AG と販売代理店契約を締結し、量子教育キット「Quantum Edukit (クオンタム エデュキット)」の販売を開始しました。
また、量子人材の教育に関しては、2025年12月、日本量子コンピューティング協会が実施する検定試験の受験費用支援を始め、社内外の人材育成に取り組んでいます。

東陽テクニカ 量子ソリューションWebページ:
https://www.toyo.co.jp/quantum/

東陽テクニカは、量子コンピューターで世界をリードするIQM社との戦略的なパートナーシップを通じて、日本における量子技術の社会実装に向けて、ともに取り組んでまいります。

製品・ソリューション紹介