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DXの基幹を支える超高速ネットワークインフラ 400GそしてBeyond 400Gへ ―次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」

株式会社東陽テクニカ 情報通信システムソリューション部 課長 松葉 俊信

本記事の内容は、発行日現在の情報です。
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目次
  1. はじめに
  2. 急速なトラフィック増加に対応する方法 ―ネットワークの400G化
  3. 高速ネットワークのパフォーマンスを“はかる” ―Spirent 400Gラインアップ
  4. 400G検証にはあらゆる規格・プロトコルへの対応が重要
  5. Beyond 400G の世界、そして時代を先取りしたSpirent 800GbEテスター

Spirent TestCenter SPT-N12Uの製品写真

はじめに

日本のインターネットトラフィック(通信量)は年間2~4割増と速いペースで増加しています。近年、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワーク推進や、巣ごもり需要の拡大に伴い、増加ペースはいっそう加速しています。膨れ上がる通信量に対応するため、日本国内の通信事業者ネットワーク(以下、キャリア網)やデータセンターネットワークにおいては、現在主流である100ギガビットイーサネット(100GbE:伝送速度が最大100Gbpsのイーサネット規格)より、さらなる高速化が求められるようになってきました。

ネットワーク技術も進化しています。2017年に最大伝送速度400Gbpsを誇る最新規格「米国電気電子学会(IEEE)802.3bs」の標準化が完了しました。並行して、400GbEに対応するネットワーク機器が、グローバル市場で先行して開発、導入され、日本国内でもここ1、2年で400G対応製品が流通し始めました。また現在は、400GbEよりさらに高速な通信規格についてIEEEのタスクフォースで議論されています。

本稿では、DX時代を支える400G、そしてBeyond 400Gの超高速ネットワーク構築に貢献する、米国Spirent Communications社の次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」をご紹介いたします。また、業界で初めて800GbEに対応した同製品の新モデルを、2022年6月に販売開始しましたので、こちらも最後にご紹介いたします。

Spirent TestCenter SPT-N12Uの製品写真

「Spirent TestCenter」の製品ページ
https://www.toyo.co.jp/ict/products/detail/testcenter.html

急速なトラフィック増加に対応する方法
―ネットワークの400G化

キャリア網における基幹ネットワーク高速化へのアプローチとして、既存の100GbEを束ねる方法と、400GbEなどの新しい規格の製品へ置き換える方法の2通りが考えられます。事業者により考え方は異なりますが、基本的には400GbEへ置き換えたほうがコスト面でメリットがあります。トラフィックの増加が緩やかであれば、100GbEを束ねることで凌げるでしょうが、段階的な増やし方では間に合わないくらい、トラフィックは急速に増えています。同じ転送速度を実現する時に、より少ない回線数で賄えるほうが高効率で低コストです。さらに、スペース/消費電力の削減や、配線のシンプル化などのメリットもあります。

ネットワークの400GbE化事例は国内外で着実に増えています。GAFAなどに代表されるハイパースケーラーのクラウド用データセンターが相次いで導入しているほか、国内においても一部の大手キャリアが基幹網への400GbEの伝送装置導入や、法人向けに400GbEのデータ転送サービスの提供を開始しています。海外ベンダーの製品を中心に、400GbEの伝送装置の価格も低廉化し始めています。

400GbEのネットワーク構築には、その性能の検証も不可欠です。そこで“はかる”技術のソリューション・プロバイダーである東陽テクニカが提供するのがSpirent Communications社「Spirent TestCenter」のSpirent 400Gイーサ・テストソリューションです。

高速ネットワークのパフォーマンスを“はかる”
―Spirent 400Gラインアップ

Spirent 400Gイーサ・テストソリューションは大きく2つのラインアップを用意しています。1つ目は「400Gイーサ・アプライアンス」、2つ目は「400Gスピードオプション対応モジュール」です。

「400Gイーサ・アプライアンス」は、19インチラックに収まる1Uまたは2Uのアプライアンス型製品で、パフォーマンステストや負荷試験などを行えます。1Uあたり400GbE用ポートを8つ搭載しており、特に日本の通信事業者は限られたスペースで通信設備を構築しているケースが多く、高いポート密度が大きなメリットになります。複数台をスタック接続してテストポート数を増設することもでき、大規模な拠点にも対応できます。

Spirent TestCenter 400Gイーサ・アプライアンス イメージ

図1:Spirent 400Gイーサ・アプライアンス

「400Gスピードオプション対応モジュール」は、既存の100Gテスターなどに取り付けることで400GbE対応を実現できる製品で、すでに100GbE対応のシャーシを持つ事業者向けです。モジュールを挿すだけで400GbEのポートを2つ増設できるため、400GbEの設備を少しずつ増やしたい事業者などに向いています。

Spirent TestCenter 400Gスピードオプション対応モジュール イメージ

図2:Spirent 400Gスピードオプション対応モジュール

400G検証にはあらゆる規格・プロトコルへの対応が重要

両ラインアップに共通する特長は、複数の規格に対応していることです。400GbE以外に10/25/40/50/100/200GbEのスピードに対応しています。特に日本のキャリア網は、現在は100GbEからの移行期であるため、100Gと400Gの複数のスピードを組み合わせた接続の検証が必要な事業者も多いと思います。Spirent社製品は1台でそのような組み合わせ検証が可能です。

著者紹介

株式会社東陽テクニカ松葉 俊信 写真

株式会社東陽テクニカ 情報通信システムソリューション部 課長

松葉 俊信

2010年 東陽テクニカに入社。
情報通信分野のネットワーク性能測定器、パケットキャプチャ、トラフィック監視製品の営業を経て、現在は超高速ネットワークに特化した性能測定器を担当。製品開発プロジェクトにも従事。

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