「ノギス」から「リング」に
マルチ無線デバイスの生産ラインで合理化を図る
GSS5300 マルチ無線テスタ

株式会社東陽テクニカ 情報通信システム 営業第1部 無線通信計測グループ 下平 秀信

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目次
  1. がんばろう!「日本のものづくり」
  2. 道具を「ノギス」から「リング」に変えて
  3. GSS5300 マルチ無線テストシステム
  4. Spirent Communications社について

GSS5300はマルチ無線デバイスの生産ライン向け低価格テスタです。「パラメータテスト」ではなく「ファンクションテスト」に視点を置き、生産ラインの合理化を図ります。Wi-Fi, Bluetooth, NFC, FMの無線通信をサポートし、並行して検査が行えます。

がんばろう!「日本のものづくり」

高い人件費、超円高、電力不足を背景に海外生産シフトが加速しており、日本でのものづくりを不安視する声は日に日に高まっております。中国・台湾の電子機器受託製造(EMS)が台頭する時代となった今、もう日本国内でのものづくりは成り立たないのか…。「パラメータテストをファンクションテストにチェンジする」をコンセプトに掲げ、無線通信機器のものづくり現場で更なる合理化に挑戦する一つの製品「GSS5300」があります。この「GSS5300」はどのようにして合理化を図ろうとしているのかご紹介致します。

道具を「ノギス」から「リング」に変えて

急速に普及しておりますスマートフォンは無線LANをはじめ、Bluetooth、GPSなど携帯通話以外にも様々な無線通信に対応しております。デジタル家電も同様にマルチ無線化が進んでおります。マルチ無線化は製品価値を高めますが、一方で検査時間は拡大しております。

一般的なマルチ無線デバイスの生産ラインでは、研究・開発でも使用されている高額な測定器を多く見ることができます。それらの測定器を用いてビットエラーレート、EVM(エラーベクトル振幅)など多くのパラメータを測り検査しております。このパラメータテストは、鉄棒の形状を検査するのにノギスで複数ポイントの直径を測るようなものです。(図1)

図1:ノギスを使ったパラメータテスト

鉄棒の形状を正確に把握することができますが時間を要してしまいます。

ここで鉄棒の形状ではなく、その形状から得られる機能に着目してみます。つまり鉄棒をある内径のリング内を突き通ることができる機能を有するものと捉えます。この場合、基準内径のリングを一つ用意し、鉄棒がそのリングに通るか否かだけを確認すれば良いのです。(図2)

図2:リングを使ったファンクションテスト

これをファンクションテストと呼びます。鉄棒をリングに通すだけですから検査は短時間で済みます。鉄棒の直径がある範囲内の形状であるかを検査する場合にも応用できます。この場合は、直径上限の内径のリングと、直径下限の内径のリングの2種類のリングを用意し、鉄棒がリングに通るか確認すれば良いのです。

この「ノギス」から「リング」のように、マルチ無線デバイスの生産ラインにおいて「パラメータテスト」から「ファンクションテスト」に転換し合理化を図ることができる道具がGSS5300です。

生産はQ(Quality:品質)、C(Cost:原価)、 D(Delivery:納期)にP(Productivity:生産性)、S(Safety:安全性)、M(Morale:士気)、E(Environment:環境)の要素を加えたPQCDSMEの観点から管理するものであります。「パラメータテスト」から「ファンクションテスト」の転換は適切な道具を利用することも重要ですが、Pの観点から検査し易い設計を行うことも重要です。

GSS5300 マルチ無線テストシステム

Spirent Communications社からリリースされているGSS5300「マルチ無線テストシステム」は、マルチ無線デバイスの生産ラインにて「ファンクションテスト」を行うことをコンセプトにした低価格のマルチ無線テスタです。 GSS5300は無線LAN、Bluetooth、NFC(Near Field Communications)、FMの4種類の無線信号を同時または個別に出力することができます。従来はそれぞれの無線テクノロジーを順々に検査しておりました。(図3)

図3:時間を要する順々の検査

図4:短時間の並行検査

GSS5300では各テクノロジーを並行に検査できるので、検査時間を大幅に短縮することができます。(図4)無線LANは802.11a/b/g/nをサポートし、無線LANクライアントの接続性と送信信号レベルを検査することができます。SSID、WEPセキュリティの設定も行えます。Bluetoothも同様にペアリング機能を検査することができます。SuicaやICOCAでお馴染みの非接触ICカードで利用されているNFCでは、距離の異なる2つのアンテナを用いて、近い距離では認識でき、遠い距離では認識できないことを確認できます。FMは、トランスミッション機能とチューナ機能を検査できます。 Spirent CommunicationsのGSS6300と同時に利用すると、GPS/GNSSの検査も並行で行えます。付属の制御ソフトでマニュアル操作ができる他、簡単なスクリプトでテストを自動化することができます。

Spirent Communications社について

Spirent Communications社は、試験・測定の世界的なリーダーカンパニーで、データセンタ、クラウドコンピュータ、高速イーサネットネットワークとサービス、3G/4Gワイヤレスネットワークと端末、ネットワーク・セキュリティ、及び全世界衛星航法システムをテストすることができるソリューションを幅広く提供しております。

Spirent Communications社のポジショニング部門では、四半世紀以上にわたり政府機関をはじめ、製造業、宇宙機関などに試験装置とサービスを提供し、GPS/GNSSの試験業界を牽引してきました。生産ライン向けの1ch GPSジェネレータを逸早く市場投入し、GPS/GNSSの生産試験に関するノウハウを蓄積してきました。近年はGPS/GNSSの生産試験で培った経験を活かし、マルチワイヤレス通信市場においても新しいテスティング・スタンダードを提供しております。

当社は、Spirent Communications社の国内代理店を長年務めており、販売及びサポートサービスを行っております。

筆者紹介

株式会社東陽テクニカ 情報通信システム 営業第1部 無線通信計測グループ

下平 秀信

1999年入社以来、情報通信分野の営業に従事。現在は無線通信の測定器を担当。