EMCマイクロウェーブ計測部

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目次
  1. 部門の主力分野EMC計測
  2. アンテナ性能計測
  3. 無線通信品質計測
  4. 海外への展開
  5. 校正事業への展開
  6. 自動車分野への対応

部門の主力分野EMC計測

名前の通り、当部はEMC(電磁両立性)製品を中心とした高周波計測器を取り扱っています。当社のEMC事業の歴史は古く、1960年代にドイツのRohde & Schwarz社が発売した不要電磁波を測定するテストレシーバを日本に紹介したことから始まります。

アナログ製品全盛の時代、主なEMC問題と言えば、掃除機など家電製品の電源が入るとテレビ画面が乱れる、自動車のワイパーを作動させると車載ラジオに雑音が入るなど、視覚や聴覚に対する障害でした。その後、多くの電気・電子製品は、アナログからデジタルへの技術移行、省電力化を目的とした緻密な機能制御、小型化による電子部品の高密度実装、無線(ワイヤレス)の利用拡大や高速データ通信を可能とする周波数範囲の拡張や高周波への移行が急速に進みました。これらに伴い、電磁環境における電子機器や電子回路の誤動作もEMCの大きな課題となりました。現在では、電子情報機器や多くの電子装置が実装された自動車および電磁波を利用する携帯電話などが共存する中で、それぞれが正常に動作する電磁環境を守るために、国際規模でEMCの新たな規格作りが進み、各国でEMCに対する法規制が強化されています。

当部は、技術の進歩により複雑化した電磁環境に対応した計測機器や計測技術を提供しています。

図1 :EMC測定システム

アンテナ性能計測

EMC計測と並び、アンテナ計測も当部の主要な取り扱い分野です。通信衛星などに搭載される指向性の高いアンテナ性能を評価する計測システムから取り扱いを始め、今日では無線通信の普及に合わせて携帯電話や車両に搭載される放送受信やGPSなどの衛星受信、さらには4G/5Gに対応してMIMOアンテナ性能評価システムを取り扱っています。車両に搭載される各種アンテナの性能評価も需要が大きく、自動車メーカー各社へ車両アンテナ計測システムを納入しています。

また、衛星との通信、天体観測、地球構造の観測などに使用される、地上局用の大型パラボラアンテナシステムも取り扱っています。直径が10mにもなる「電波望遠鏡」と呼ばれる天体観測用のパラボラアンテナシステムを、国土地理院などの国家機関へ納入した実績もあります。

図2:地上局大型パラボラアンテナシステム

無線通信品質計測

携帯電話などの通信品質評価は、実環境に近い無線での通信品質の測定が必須となり、3GPP1)やCTIA2)などの携帯端末向けの無線通信規格制定団体によって、実環境と同じように空間に電波を飛ばしたOTA(Over The Air)試験が規格化されました。

これらのOTA測定には、一般的には電磁波の反射のない自由空間を模擬した電波暗室が必要ですが、それと同等な結果を得ることができるリバブレーションチャンバーを使用した方法が代替手法として認められています(3GPP規格TR25.914 Annex Eに記載)。当社もこれに対応したBluetest社製測定システムの販売を2007年より開始しました。このシステムはオフィス環境にも設置することができ、大幅な設備投資コスト低減と主要な通信品質判断となるTRP/TIS3)の測定時間の短縮を実現します。日本の大手キャリア3社は、携帯端末メーカーに対し自社回線への接続を許可するために、本測定装置での試験を義務付けています。

図3:Bluetest社製リバブレーションチャンバー

海外への展開

当部の特徴の一つとして、従来の当社のビジネスモデルとは異なる、自社システムの開発・販売が挙げられます。 1990年代から、市場ニーズに合致した計測機器と自社開発の制御ソフトウェアを組み合わせた、オリジナル計測システムを扱っています。長年積み重ねてきた計測技術とノウハウを活かして開発する自社製ソフトウェアの機能は、世界的にもハイエンドなものと評価をいただいています。

そして、東南アジアや韓国など海外への展開も積極的に行ってきました。

2010年には「東揚精測系統(上海)有限公司」を設立し、本格的に中国市場においてEMC計測システムの販売を開始しました。安価な人件費を背景にした生産拠点から、設計・開発拠点へと変貌しつつある中国では、EMCの法規制化が進み海外への輸出も視野に入れたEMC設備への投資意欲は非常に旺盛です。2017年には米国子会社TOYOTech LLC(2015年設立)においてもEMCビジネスを開始し、さらに販路を拡大しています。

図4:海外への展開

校正事業への展開

2005年に、ISO/IEC 17025認定「キャリブレーションラボラトリー」を開設しました。それまでは、当社が販売した機器のアフターサービスの一環として、 ISO 9001を基準とした校正を実施していましたが、計測機器・システム販売とは独立した競合製品にも対応する校正ビジネスを開始、プロフィットセンターと位置付けています。法規制による認証測定が必要なEMC機器や、厳しい品質が要求される自動車関連の計測機器に対して、より厳しい基準の校正が要求されるようになったためで、計測機器販売商社としては初めての試みです。毎年スコープ(校正範囲)を拡大し、市場のニーズに対応しています。

図5:東陽テクニカ キャリブレーションラボラトリー

自動車分野への対応

現在の自動車開発においては、車両の電子制御だけではなくEV化や自動運転など急激な技術革新が行われています。強力な電磁波ストレス環境の中でも、電子制御された車両は誤動作なしに制御が行えるのか、無線技術を利用した自動運転レベルが進む中で確実に無線制御が行えるのか、さらには無線通信中に電磁波ストレスにさらされた場合の車両の挙動はどうなるのか、など多くの課題が存在します。

自動運転では、アクセルやブレーキだけでなくハンドル操作も無線通信で行われ、人命に直結するこれらの制御には、信頼性の高い試験方法の確立が急務です。欧州では、2018年3月から販売する車両にはeCallシステム(緊急通報システム)の搭載が義務付けられました。

図6:くるまと電磁波

今後も、電磁波を切り口としたさまざまな技術要求に対し、EMC計測・アンテナ性能計測・OTA計測の分野において、便利で新しい技術を安全に利用できるようなソリューションを提供してまいります。

1) 各国の標準化団体によって第3世代携帯電話(3G)の普及のために1998年12月に作られた国際的なプロジェクト。 それ以降の移動通信システムに関連する仕様の検討、策定を行っている。
2) 1984年に設立された携帯電話など移動体通信や無線通信など300以上の事業者が参画する国際団体。
3) TRP(総合放射電力)/TIS(総合受信感度)