水中の世界で数mmの分解能まで3次元計測する 高精度水中レーザースキャナ 「 ULSシリーズ」 ~新たな水中の世界を視るために~

株式会社東陽テクニカ 海洋計測部 清水 俊成

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目次
  1. はじめに
  2. 水中構造物を「測る」
  3. 水中における「音波」と「光」の違い
  4. 高精度水中レーザースキャナ「ULSシリーズ」
  5. 水中レーザースキャナの調査現場

はじめに

はじめに

高精度水中レーザースキャナ「ULSシリーズ」は、水中で緑/青色のレーザーを照射することで、ソーナーの数百倍の分解能で3次元の点群データを提供できる画期的なシステムです。水中構造物のメンテナンスを行うための正確かつ詳細なデータが得られる計測技術は、現在大きな注目を集めています。

水中構造物を「測る」

陸上で「最先端の測量」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かぶのはドローン測量ではないでしょうか。現在、日本のあらゆる現場でドローンによる3次元計測が行われており、陸上の世界の3次元データの需要は一気に広がりを見せています。では、水中の世界はどうでしょうか。日本では、橋脚やダムのような水中構造物の社会インフラは、建造されてから数十年経っているものが多く、経年劣化を評価するための水中計測技術が求められています。また、日本周辺での洋上風力発電の建設プロジェクトが進行しており、建設時およびメンテナンス時における海底起伏の状況把握、パイルの状況診断など、水中を高精度かつ高分解に計測する技術が求められています。このように水中構造物を測るニーズは年々高まりを見せており、水中計測技術への要求は高くなっています。

水中における「音波」と「光」の違い

現在の水中計測のほとんどが超音波を用いたソーナーです。ソーナー(マルチビーム測深機など)の利点は、「水中で音波が減衰・散乱しにくい」「水の濁りに強い」など水中環境の影響を受けにくく、安定した長距離計測が実現できることにあります。

一方で光を利用した水中計測は長距離計測には不向きですが、数mmの空間分解能での3 次元計測が可能で、さらにソーナーの数十~数百倍の密度でデータ取得ができます。そのため、水中レーザースキャナはこれまで識別できなかった数mm~数cmの水中の世界を3 次元で可視化することができます。また、レーザースキャナによる3 次元計測のメリットは、水中写真では判別できない奥行き方向の凹みや傷が客観的に評価できるため、異常箇所の見逃しを減らすことができることです。ただし、水中での光の弱点として「水の濁りによってレーザー光が散乱する」「周辺光がデータのノイズになる」など使用環境が限られるため、さらなる技術発展が期待されます。

パイプラインのデータ比較

図1:パイプラインのデータ比較:マルチビームのデータ(左)と水中レーザースキャナのデータ(右)

「ULSシリーズ」のレーザー計測イメージ

図2:「ULSシリーズ」のレーザー計測イメージ

高精度水中レーザースキャナ「ULSシリーズ」

著者紹介

清水 俊成

株式会社東陽テクニカ 海洋計測部

清水 俊成

2012年東陽テクニカ入社以来、海洋計測機器の営業に従事。水中レーザースキャナの他、水中音響機器、光学/赤外線カメラ等を担当。