Perforce Intelligenceの次なる展開:エンタープライズAIを管理する新たな基盤へ
*本記事は Perforce Software社の以下のブログ記事(2026年6月29日時点)の参考訳です。
What’s Next in Perforce Intelligence: Building the Control Plane for Enterprise AI
*ブログの内容は更新されている可能性があります。
Perforce Intelligenceは、Perforceが製品群全体で進めているAI関連の取り組みです。現在Perforceはこの取り組みをさらに発展させ、AIソフトウェア開発ライフサイクル(AI SDLC)全体を通じて、AIをより適切に管理・運用できる仕組みを整えようとしています。本記事では、Perforce Intelligenceの進化と、本番環境でのAI導入をより進めやすくするために新たに提供を開始したプラットフォームおよび機能について紹介します。
Perforce Intelligenceの新たな展開
Perforceは2025年春、Perforce Intelligenceの取り組みを本格的に開始しました。Perforce Intelligenceは、DevOpsライフサイクル全体にAIを取り入れることで、人手だけでは対応が難しい「規模」や「複雑さ」を伴う開発にも対応できるようにすることを目指す取り組みです。AIを安全かつ責任ある形で活用し、コンプライアンスに対応しながら、実際のビジネス成果につなげることを重視しています。
この取り組みを発表した時点で、Perforce製品には既にAIを組み込み始めていました。しかし、Perforceが目指しているのは、既存製品にAI機能を追加することだけではありません。AI駆動型の新たな開発ライフサイクル(AI-DLC)を見据え、AIの設計・提供・管理を支援することを目指しています。長期的には、このライフサイクルをさらに進化させ、AIによるソフトウェアデリバリーを自律化していくことを目標としています。ただし、それはAIにすべてを任せるという意味ではありません。AIが開発ワークフローを高速かつ正確に実行しながらも、人が適切に管理し、信頼できる状態を保てるようにすることが重要だと考えています。
Perforceは早い段階から、AIがもたらす可能性は確かなものだと認識していました。一方で、AIがソフトウェアデリバリーに与える影響や、そのアウトプットを適切に把握・管理できなければ、AIを概念実証(PoC)から実際の生産性向上や投資対効果につなげる段階へと進めるのは難しいだろうとも考えていました。また、AIの導入が非常に速いスピードで進んでいることも明らかでした。ソフトウェア開発の領域では、AIは実験段階から本番活用の段階へと急速に移行しました。しかし、規制や管理要件の厳しい業界・環境では、その仕組みを把握し、コストやコンプライアンス、セキュリティ、品質を管理できなければ、新しい技術を導入し、成果につなげることはできません。
Perforceの最新リリースは、こうした課題に正面から対応するものです。
- Perforce Agentic Gatewayは、AI連携を統合的に管理するためのAIオーケストレーションレイヤーです。トークン消費を抑えながら、複数のPerforce MCPを1つのインストールでまとめて接続できます。また、Perforce Agentic Gatewayでは、一部のPerforce MCPとサードパーティのMCPを接続することもできます(この点については、後ほど詳しく説明します)。Perforceは、ソフトウェアデリバリーの幅広い領域をカバーする製品を提供しており、それらの製品は非常に複雑な環境でも利用され、実績を重ねてきました。Perforce Agentic Gatewayを導入することで、新しいエージェント型ワークフローにAIを組み込み、作業の効率化を図りながら、Perforce製品が提供するトレーサビリティや各種保護機能もあわせて活用できます。複数のPerforce製品を利用している場合は、これにより導入効果を得るまでの時間を大幅に短縮できるでしょう。現時点でPerforce Agentic Gatewayに対応している製品は、P4、Delphix、BlazeMeter、Perfecto、IPLMです。対応製品は今後さらに拡大する予定です。
- Perforce Autonomous Testingは、自然言語による指示でテストを実行し、品質エンジニアリングに関わるさまざまなプロセスをAIエージェントが継続的に検証する、AI支援型のテストプラットフォームです。これまで専門の担当者や個別のツールに頼っていたテスト業務を、組織内の幅広いアジャイルチームが利用しやすい形に変えていきます。従来は、複数のテストツールを使い分けながら、テストスクリプトを手作業で更新する必要がありました。Perforce Autonomous Testingでは、検証したい内容を自然言語で伝えるだけで、機能テスト、パフォーマンステスト、モバイルテストに必要な一連の処理をAIが実行します。現時点では、Perforce BlazeMeterおよびPerfectoとの連携を想定して設計されています。今後の機能拡張については、後述の「今後の展開」をご覧ください。
- Perforce Unified Complianceは、定めたポリシーを実際の運用に反映し、コンプライアンスを継続的に維持しながら、監査に必要な証跡を収集するソリューションです。現在は、Puppet Enterprise Advancedで提供され、マルチクラウド環境のコスト管理・最適化や、OS設定に関するコンプライアンスの強化に対応しています。今後は、コード、知的財産、データに関わるワークフローにも対象を広げ、日々の作業の中で、監査にそのまま利用できる証跡を自動的に生成・蓄積し、継続的なコンプライアンス対応を可能にするプラットフォームへと発展していく予定です。
Perforce Agentic Gatewayの仕組み
AI連携を1つの管理レイヤーに集約
組織内で利用するAIエージェントやワークフローが増えるほど、連携の仕組みは急速に複雑になります。ツール、AIモデル、各種システムがそれぞれ独立して動作すると、運用の手間が増えるだけでなく、ガバナンスが分散し、トークンコストも膨らみやすくなります。
Perforce Agentic Gatewayは、Perforceが提供するMCP群と、サードパーティー製を含むより広範なMCPエコシステムを一元的に連携・管理するためのオーケストレーションレイヤーです。導入と設定を一元化することで、複雑な連携環境をよりシンプルに構築できます。
AIの利用や連携を一元的に管理することで、Perforce Agentic Gatewayは、AIの適切な管理と、AI-DLC全体での大規模な活用を可能にします。
現在、Perforce Agentic Gatewayは、P4、Delphix、BlazeMeter、Perfecto、IPLMに対応しています。特定のMCPに依存しないため、対象となるPerforce製品を1つしか利用していない場合でも、社内で使い慣れた各種ツールのMCPも含めた、広範なMCPエコシステムをスムーズに構築し、より良いエージェント型ワークフローを実現できます。
さらに、Perforce Agentic Gatewayは次のような機能も備えています。
- トークン使用量の最適化とコスト削減:複数のタスクを1回のエージェント呼び出しにまとめ、不要な呼び出しを減らすことで、トークン消費を抑えます。
- OS標準の機能を使って、認証情報を安全に保管・管理します。
- 対応するPerforce製品向けMCPサーバーを一覧表示・検索できるほか、新たなユースケースの検討・実現を支援する機能も備えています。
- Perforce Agentic Gatewayで管理する複数のMCPサーバーの情報を一元的に確認できるUIビルダーが付属しています。
Perforce Agentic Gatewayは、導入手順とともにGitHubで公開されています。ご興味のある方は、ぜひ詳細をご確認の上、お試しください。
Perforce Autonomous Testing:AIを活用したソフトウェアデリバリーを継続的に検証
従来のテスト自動化では、アプリケーションの変更に合わせて、担当者がテストスクリプトを作成・管理・更新し続ける必要があります。こうした作業がボトルネックとなり、テストの進行を遅らせ、カバレッジを十分に確保できないこともあります。
その点、Perforce Autonomous Testingは、これまでとは異なるアプローチを採用しています。
自然言語でテストの目的、期待する結果、検証ポリシーを定義すると、プラットフォームがモバイル、Web、仮想デバイス、性能テストに必要な環境を自動で用意し、テストの生成・実行・更新までを行います。
従来の自動化フレームワークとは異なり、アプリケーションの変更に合わせて、担当者がスクリプトを作成・更新したり、ロケーターを管理したり、テストアセットを継続的に更新したりする必要はありません。AIがアプリケーションの変更に応じてテストを調整し、複数の環境で検証を実行するとともに、結果を分析して、障害の原因となっている可能性の高い箇所を特定します。
1つのチャットインターフェースから、複数のアプリケーションや環境に対する機能テスト、性能テスト、アクセシビリティテストを一元的に実行・管理することができます。
実際の運用では、1つのテスト定義を複数のプラットフォームやテスト分野に適用できるため、管理や更新の負担を抑えながら、検証範囲を広げることができます。
たとえば、次のような活用が可能です。
- ビジネスアナリストは、顧客の操作フローを自然言語で記述するだけで、自動テストを生成できます。
- 品質エンジニアリングチームは、開発プロセス全体を通じて、変更内容を継続的に検証できます。
- モバイル、Web、仮想デバイス、性能テスト用インフラなど、必要なテスト環境が自動的に用意されます。
- アプリケーションの変更に応じてAIがテストアセットを作成・更新するため、ロケーターやスクリプトを更新する必要がなくなります。
- テストの実行結果を自動的に分析し、考えられる根本原因や、アプリケーション内の影響箇所を特定します。
これにより、自動化のための専門人材を新たに確保することなく、テスト範囲を拡大できます。
BlazeMeterとPerfectoを基盤とするPerforce Autonomous Testingは、ソフトウェア品質を確保しながら、スクリプト中心の自動化から、AIエージェントが担う継続的な検証への移行を支援します。
Perforce Autonomous Testingの詳細をチェックしてみる
Perforce Unified Compliance:企業環境全体に継続的なガバナンスを
AI活用を拡大する上での大きな課題の一つが、定められたポリシーが順守されていることを証明することです。
多くの組織では、セキュリティ、運用、コンプライアンスに関する要件を定めることはできても、変化し続ける環境の中で、それらが守られているかを継続的に確認するのは容易ではありません。
Perforce Unified Complianceは、この課題を解決するためのAI駆動のコンプライアンス・インテリジェンス・プラットフォームです。Perforceの各種製品・機能を活用し、コンプライアンス対応の抜け漏れを防ぎ、ソフトウェアデリバリーライフサイクルを通じてポリシーを継続的に適用するとともに、監査に必要な証跡を自動的に提供します。現在はPerforce Puppetに対応しており、クラウドコストの管理や、インフラのOSコンプライアンス確保に活用できます。今後、対応範囲はさらに拡大予定です。
コンプライアンスを定期監査のたびに確認するのではなく、環境の変化に合わせて、ポリシーが守られ続けていることを継続的に検証できます。これにより、ガバナンスを強化してリスクを低減し、ソフトウェアデリバリーの信頼性も高められます。
Perforce Unified Complianceの詳細をチェックしてみる
Perforceの今後の展望
今回の発表は、Perforceが目指す「エンタープライズAIを管理する新たな基盤」の実現に向けた第一歩です。
エンタープライズAIの次の段階を左右するのは、導入したモデルや構築したエージェントの数ではなく、それらを適切に管理できるかどうかです。
AIがソフトウェアデリバリー、テスト、インフラ、データ、コンプライアンスへと広く組み込まれていく中で、AIワークフローを一元的に管理し、その成果を継続的に検証するとともに、ガバナンスを自動化し、AIが事業に及ぼす影響を把握できる仕組みが求められます。AIによって、体系的なエンジニアリングが不要になるわけではありません。むしろ、その重要性はこれまで以上に高まります。
Perforce Intelligenceは、そのための基盤として設計されています。
今後のロードマップでは、次のような機能や技術革新を予定しています。
Perforce Agentic Gateway
Perforce Agentic Gatewayは、AIエージェントやMCP対応ワークフローを企業全体で管理する基盤として、今後も進化を続けます。ガバナンス、セキュリティ、オブザーバビリティ、コンプライアンスの機能をさらに強化するとともに、対応するPerforce製品を増やし、各製品分野に特化した機能や知識を取り込み、統合的に活用できるエージェント環境を実現していきます。拡大を続けるAIエージェント、MCPサーバー、業務ワークフローのエコシステム全体を、より明確に把握・管理し、ポリシーを確実に適用できるようになります。
Perforce Autonomous Testing
Perforce Autonomous Testingは、テストの自動化から自律的な検証へと、さらなる進化を続けます。アプリケーションの構造や動作、要件、仕様、テストデータ、実行環境を踏まえて、何を検証すべきかを自律的に判断し、必要なテストを作成・更新します。そして、Webやモバイル、デスクトップ、メインフレーム、API、性能、アクセシビリティ、耐障害性など、さまざまな領域のテストシナリオを実行し、検証範囲を継続的に最適化します。
今後は、テストに必要なデータ、環境、デバイス、インフラを用意する機能をさらに拡充します。また、Delphixとの連携により、安全でコンプライアンス要件を満たしたテストデータの提供も可能にする予定です。AIを活用したソフトウェアデリバリーが広がる中、Perforce Autonomous Testingは、アプリケーションの構造や動作を踏まえた継続的な検証を可能にします。テスト結果を自動的に分析し、障害の原因となっている可能性の高い箇所を特定するとともに、開発者やAIエージェントが次の対応に生かせるフィードバックを提供します。これにより、品質を確保しながら、ソフトウェアデリバリーを高速化できるようになります。
Perforce Unified Compliance
Perforce Unified Complianceは、AIを活用する企業に向けた包括的なコンプライアンス・インテリジェンス・プラットフォームへと進化していきます。今後は、ガバナンス、証跡収集、問題の是正、監査への備えを支援する機能をさらに拡充し、これらの機能の適用範囲を、コード、品質、データ、インフラ、製品ライフサイクル管理、オープンソースソフトウェア、ソフトウェアサプライチェーン、セーフティクリティカルシステムへと広げる計画です。Unified Complianceにより、証跡の自動生成、ポリシーに基づく統制、継続的なコンプライアンス検証により、DORA、PCI DSS、CMMC、HIPAA、EU AI Act、MISRA C、ISO 26262などの規制やフレームワークへの準拠状況を継続的に示せるようになります。
これらの取り組みは、Perforceが掲げる「自律的かつ統制されたソフトウェアデリバリー」というビジョンを形にするものです。つまり、人が目指すものを定め、AIがその実行を加速する一方で、ガバナンス、品質、セキュリティ、コンプライアンスはソフトウェアライフサイクル全体を通じて一貫して確保される――そのような未来です。
AI活用を安心して拡大するために
AIの活用が進むにつれ、企業が求めるものは、生産性の向上だけではなくなります。AIを信頼して使えること、判断や結果に対する責任を明確にできること、そして、その利用を適切に管理できることが必要になってきます。
Perforce Intelligenceは、この3つの実現を支援するものです。ガバナンスと品質を損なうことなく、開発ライフサイクル全体でAIを本格的に活用し、目に見えるビジネス成果を継続して得られる未来を目指しています。
Perforce Intelligenceの最新動向や、AIを適切に管理しながら活用を拡大する方法について詳しく知りたい方は、CTOウェビナーシリーズ「AIがコードをリリースする時代に、意図しない影響をどう管理するか(When AI Starts Shipping Code: Managing the Unintended Consequences)」にご参加ください。