April 8, 2021

デザイナーにとって最良のバージョン管理システムとは

*本記事はPerforce Software社の以下のブログ記事(2021年4月8日時点)の参考訳です。
 What's the Best Version Control For Designers?
*ブログの内容は更新されている可能性があります。また、記事内のリンク先は別途記載がない限りは英語ページになります。

バージョン管理システムはエンジニアにとって不可欠なツールです。しかし、コードだけでは済まないのが今の開発です。アーティストやデザイナー向けのバージョン管理ツールを導入することで、チーム間の連携強化や貴重なデジタルアセットの保護が可能になります。

このブログでは、バージョン管理がデザイナーにとって非常に重要である理由を解説します。そして、「デザイナーやアーティストにとって最良のバージョン管理システムとはどのようなものか?」という問いに対して、お答えしたいと思います。

デザイナーにバージョン管理システムが必要な理由

デザインチームの誰がいつ、どういった理由でどのような変更を加えたか分からないデジタルアセットが散乱している。そんな事態はどのくらいの頻度で発生しているでしょうか?

答えは分かりますよね。残念なほどに、"ありがちな"事態です。

アーティストやデザイナー、そして開発チーム間のコラボレーションは、現在の開発プロセスにおいては不可欠です。しかしながら、デザインツールにはコラボレーション強化を助けるような、チーム連携を前提とした機能はあまり備わっていません。現在の"リモート"な世界においては、別々のツールを使っていても、チームのメンバーがお互いに協力し合い、アセットを共有できる手段が必要になります。

単純なファイル/フォルダ共有の限界

GoogleドライブやDropbox、メールなどのソリューションを使いファイルを共有するのも選択肢のひとつです。ただ、ここで問題となるのは、これらのソリューションがアーティストやデザイナー、エンジニアが普段使っているツールとの連携に優れているとは言えない点です。そのため、名前に "_V3"(バージョン3)だとか、"_LH_edits"(LHによる編集)だとかが付いたファイルがやりとりされることになります。また、このやり方ではセキュリティ対策が不十分で、ハッキングの脅威に晒されやすい状態に貴重なデジタルアセットが置かれてしまいます。

バーチャルプロダクションゲーム開発プロセスでは、アーティストやデザイナーはPhotoshop、3ds Max、Mayaなどのツールをよく使用します。そして大抵の場合、デザインやプロダクションなどの段階で何度も、非常に大きなファイルを複数バージョン作り出します。プロジェクトが拡大するにつれて、アクセスのしやすさだけに応える共有フォルダでは用が足りなくなり、それ以上の"何か"が必要になってきます。

デジタルアセットを一元管理し、デザイナーやエンジニアが混在するチームのコラボレーションを強化するのであれば、バージョン管理システムの導入がおすすめです。

デザイナー達が考える、2020年代のゲーム開発とは

Perforce Software社では、2020年代のゲーム開発の今とこれからについて、ゲーム開発に関わる500人以上にアンケートを行いました。ゲーム開発のトレンドや課題、必須となるツールに対する意見を下記のレポートにまとめています。

ゲーム業界:開発現場の現状調査レポート

ゲーム業界:開発現場の現状調査レポート

ダウンロードはこちら

バージョン管理がアーティスト&デザイナーにどう役立つか

バージョン管理をすることで、ファイルをしっかりと管理し、すべての変更とバージョンをトラッキングできるようになります。さらに、ファイルをバージョン間で比較して、その違いを確認することもできます。デザインやコードを含む、すべてのデジタルアセットの"信頼できる唯一の情報源"(Single Source of Truth)を手にすることで、ビルド作業を効率化し、より早く正確なフィードバックをチームに対して提供できるようになります。チームメンバーは常に、最新の正しいバージョンのファイルを使っているという認識の下、作業することができるのです。

ビジネスの観点で考えれば、バージョン管理の主な目的は知的財産を保護することです。セキュリティ、アクセス管理、バックアップ、およびディザスタリカバリ(DR)機能により、貴重なデジタルアセットが守られているという安心感を得ることができます。また、誤った削除や望ましくない変更の防止にも役立ちます。

バージョン管理システムは、ファイルの作成・削除・編集などの変更を記録します。変更履歴は重要な情報であり、変更ごとに作業者、日付、その目的も残しておく必要があります。一部のバージョン管理システムは、強力なアンドゥ(操作の取り消し)機能を備えており、変更を元に戻すことができます。これらの機能はソースコードと同様に、グラフィックファイルや デザインファイルの管理においても役立ちます。総合的に言って、このような機能があることで、チームの役割に関係なく、生産性は劇的に向上します。

バージョン管理がデザイナーに嫌われがちな理由

デザイナーも単純なファイル共有による運用が理想的ではないことは分かってはいます。しかし、バージョン管理システムの多くは、デザイナーに自分たちが愛用しているツールとは別に、新たに複雑なツールの使い方を学ぶことを求めてきます。また、その多くはインターフェースが直観的とは言えず、ファイルの管理に難解なコマンドやターミナルウィンドウによる操作を必要とします。さらに、それらのシステムから返ってくるメッセージの多くは、誰かの翻訳が必要になるほどに難解で、状況をより複雑にしてきます。UX(ユーザエクスペリエンス)の観点では、悪夢と言えるでしょう。

しかし、デザイナーがバージョン管理システムの使用に二の足を踏むのには、さらに大きな理由があります。それは、ほとんどのバージョン管理システムでは、デザイナーが使うような巨大なバイナリファイルを扱うことが不可能だという点です。例えば、AdobeやAutodeskなどのメジャーなデザイナーツールで作成したバイナリファイルを管理するには、高性能なシステムが必要になります。

デザイナーにとって最良のバージョン管理システムとは

コラボレーションの推進、デジタルアセットの一元管理、セキュリティの強化。これらを(できる限りシンプルに)実現するのであれば、ゲームおよびメディア業界で広く活用されているPerforce Software社の「Helix Core」が必要です。

Helix Coreは既に長年にわたり、エンジニアやデザイナーの皆様にご利用いただいてきた実績がありますが、Perforce Software社では、このたび新たに、プログラマー以外の方向けの無料のデスクトップクライアント「Helix Sync」をリリースしました。セキュリティ面での不安が残るメールやDropBoxに頼る必要は、もうありません。Helix Syncがあれば、管理すべきファイルサイズがいくら大きくなっても、変わらぬパフォーマンスでデジタルアセットの保護と再利用を行うことができます。デジタルアセットすべてにおいて、"信頼できる唯一の情報源"(Single Source of Truth) が手に入ることで、ビルド作業の高速化とチーム間のシームレスなコラボレーションを実現することができるのです。

Helix Syncの仕組み

Helix Syncは、デザイナーやアーティストにとって理想的なソリューションです。新しいツールを使う必要はなく、ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にバージョン管理を始めることができます。

  1. Helix Visual Client(P4V)のワークスペースに接続
  2. お好みのツール(Maya、3ds Max、Photoshopなど)でデジタルアセットを制作
  3. デジタルアセットをローカルフォルダにドラッグ&ドロップして、 バージョン管理。詳細はこちら>>

すべてのデジタルアセットとソースコードが同じ場所に保存されるため、必要なものを探し回る必要はなくなり、より正確なビルドが可能になります。

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膨大なPhotoshopデータのバージョン管理を実現させたメディア企業の話

あるグローバルなメディア・エンターテインメント企業では、会社が成長するにつれて、おびただしい数のプロジェクトのデジタルアセットすべてを把握し管理することが、どんどん困難になっていきました。エンジニアやデザイナーがサンフランシスコ、プラハ、ソウルに散らばっているために、データの誤った上書きや紛失も起こっていました。

同社のエンジニアリングチームのひとつがGitを使用していたため、まずはGitを使ってデザインファイルの管理を試みましたが、彼らのプロジェクトで使う大容量ファイルを処理することはできませんでした。

さらに、デザイナーの作業を複数の場所でレビューすることも難しく、プロデューサーやアートディレクターは、デザインの進化およびその過程で行われた個々のデザイナーの決定や理由を知ることができないでいました。

Entertainment Technology Centerによる、Helix Coreを利用したコラボレーション強化の事例をご紹介>>

次に、同社主力のソフトウェア開発チームが既にバージョン管理システムとしてHelix Coreを使用していたことから、Helix Syncを試してみることになりました。

結果、デザイナー達はすぐにHelix Syncを気に入り、今まで通りに制作にはPhotoshopを使いつつ、ファイルの管理にはHelix Syncを利用するようになりました。Photoshopで作ったデータをバージョン管理する場合に必要な作業は、後で変更内容などが分かるように簡単な説明を付けて、ファイルをHelix Syncのフォルダにドラッグ&ドロップするだけです。さらに、Helix Visual Merge Toolで、異なるバージョンのデザインを横並びに表示・比較することもできます。

カリフォルニアのエンジニアは、例えば東欧のモデリングチームやアジア太平洋地域のイラストレーターが作ったデジタルアセットが必要になった時も、置き場所がはっきりしているので、探す必要はありません。また、アートディレクターはチームによるデザインのバラつきを心配せずに、変更箇所のレビューも簡単に行うことができるようになりました。

デザイナーにとって最良のバージョン管理を始めましょう

開発に携わる様々なチームの間の連携を強め、開発を加速させるために、Perforce Software社のHelix Coreバージョン管理システムとHelix Syncをぜひ活用してください。最大5ユーザーまで無料でお試しいただけます。

Helix Coreを無料で使ってみる

既にHelix Coreをご利用中でしたら、Helix Syncは以下からダウンロードできます。

Helix Syncをダウンロード