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クルマの乗り心地を“はかる”6DoFセンサとは?

目次

はじめに

クルマの運転中にはさまざまな振動や騒音が発生します。振動騒音レベルが低いものはそれほど気になりませんが、レベルが肥大化すると搭乗者は不快に感じ、快適なドライブに影響を及ぼします。車室内を快適な空間にするためには、クルマの挙動解析として、操縦安定性や乗り心地の評価が極めて重要な指標となります。

一方、近年では若手世代の自動車離れの食い止めや高齢化社会での安全性確保などの要因もあり、自動運転車の開発が進んでおり、近い将来自動運転車が当たり前に街中を走るようになると予測されます。2040年には、世界の新車全体におけるADAS(先進運転支援システム)を搭載した車両は8,475万台、またレベル3~5の自動運転システムを搭載した車両は4,112万台(新車のおよそ30%)になると推測されています(図1)。

図1:新車に搭載される自動運転システムの動向
(出展:株式会社富士キメラ総研『2019 次世代カーテクノロジーの本命予測と未来自動車像』

運転手がハンドルを握ることなく目的地までたどり着くことができるようになると、クルマという概念が変わってくるかもしれません。クルマは、「運転をして街中を移動するもの」から、「車室内で食事や映画鑑賞などを楽しみながら目的地に向かうもの」といった新しい価値を持ったものになるでしょう。そんな自動運転車においては、ますます乗り心地が重要な要素になってきます。では具体的にどういったクルマが「乗り心地が良い」と評されるのでしょうか。「搭乗者が受ける振動影響が少ない」、「走行中の車室内が静か」など様々な指標があるかと思いますが、その中でもクルマの発進、停車、ターン時に加わる振動は、搭乗者が最も乗り心地を意識するポイントです。これらの検証には一般的に6DoFセンサが多く用いられています。以下では6DoFセンサの有用性、使用事例などを紹介します。

6DoFセンサについて

6DoFセンサとは

6DoFは“Six-degrees of freedom”の略称で、6DoFセンサとは3軸の加速度(X、Y、Z)、角速度(roll、pitch、yaw)を計測できるセンサです。現実世界では指定されたX、Y、Z軸だけに沿ってモノが移動するといった現象はほぼなく、ほとんどの場合、モノは移動しながら回転します。従来は物体の挙動を測定する際、一般的に加速度(m/s^2)が用いられ、角速度(deg/sec)はコストの高さや測定の複雑さが原因で、加速度と同時に計測することはほとんどありませんでした。しかし近年のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の発達により、6軸すべての情報を1つのセンサで取得できるようになり、動的な現象の加速度、角速度の同時計測が可能になりました。

図2:6DoFセンサの検出方向

6DoFセンサとIMU(慣性計測装置)との違い

近年ではドローンなどの姿勢計測においてIMU(慣性計測装置)が用いられています。どちらも加速度と角速度情報を取得でき、一見同類品かと思われますが、実際には使用目的が大きく異なります。こちらの相違点について簡単に説明します。

主に異なる点は、IMUはデジタル出力であるのに対し、6DoFセンサはアナログ出力であるという点です。一般的にアナログ信号はデータ処理がしやすいため、研究開発用途で好まれます。一方で信号方式が既に決定している場合はデジタル出力が推奨されます。

また6DoFセンサは発進、停車、ターン時の車体に加わる動きや、トラック内で落下する貨物の動きといった「動的な現象」を測定するように設計されています。これらの現象は動きの速い成分のため、測定レンジ、周波数範囲を通常よりも広くする必要があります。対してIMUの多くは位置追跡を目的に使用されます。既存の位置から移動したかどうか、及びその移動量を算出します。したがって比較的長い測定時間となり、センサのバイアス電圧の安定性がキーポイントになります。

Endevco社6DoFセンサについて

Endevco社Model 7360A

Endevco社が開発した6DoFセンサModel 7360A(以下「7360A」)はクルマの乗り心地評価をはじめ、航空宇宙試験など様々な分野で実績があります。多くは研究開発用途で使用されています。従来の6DoFセンサは比較的サイズが大きく、多くの配線が必要でしたが、「7360A」はMEMS技術によりコンパクトさを実現し、1つのセンサで6軸分の計測が可能になりました。また用途に合わせた複数の測定レンジをカバーしているため、動きの遅い計測には加速度レンジ(100m/s^2)/角速度レンジ(100deg/s)のモデル、速い計測には加速度レンジ(2,000 m/s^2)/角速度レンジ(8,000deg/s)のモデル、などとモデルを選定することで適切な測定レンジ内での計測が可能です。以下に主な特長を紹介します。

<特長>

  • センサ1つで加速度(3軸)、角速度(3軸)が計測可能。
  • 複数の測定レンジにより、幅広いアプリケーションに適用
    加速度:±2, 10, 50, 200, 500(G)
    角速度:±100, 500, 1.5k, 8k, 12k, 18k(deg/sec)
  • 12本の信号線を2線式にまとめ、コンパクト構造を実現
  • 堅牢性(耐衝撃5000G、IP67)
  • ネジ止め、接着止めで取り付け可能
  • A2LA校正認証の取得

<主なアプリケーション>

  • 車両の乗り心地評価
  • 兵士、アスリートの動的運動測定
  • 貨物輸送時の振動測定
  • 自動車のロールオーバーや横滑りの検知
  • 飛行機の航空試験
  加速度 角速度
測定レンジ ±2, 10, 50, 200, 500G ±100, 500, 1.5k, 8k, 12k, 18k deg/sec
周波数範囲(±3dB) DC~5kHz DC~2kHz
駆動電圧 7-36Vdc or 5Vdc( オプション) 5-16Vdc
温度範囲 -40~100℃
サイズ、重さ 30.5 x 30.5 x 27.9mm、35g

図3:「7360A」の仕様と図面

その他の関連製品

Endevco社は、自動車、航空宇宙業界を中心に幅広い製品の開発を進めております。以下では6DoFセンサに関連する製品情報を紹介します。

型式「770A」-「770F」(1軸DC加速度センサ)

主に乗り心地評価における加速度計測として、自動車や鉄道分野で広く実績があります。MEMS方式の加速度センサであり、最小加速度レンジが2m/s^2のため、微小振動の計測も可能です。

  加速度
測定レンジ ±2, 10, 30, 50, 100, 200G
周波数範囲(±3dB) DC~5kHz
駆動電圧 7-36Vdc or 5Vdc ( オプション)
温度範囲 -40~100℃
サイズ、重さ 15.24mm角、6g

図4:「770A」-「770F」の仕様

型式「7310A」(1軸角速度センサ)

ダミー人形のむち打ちやクルマの横転時の角速度計測に用いられます。こちらも6つの測定レンジをカバーしており、重さ3gと小型軽量タイプになります。また3軸アダプタ(別売り)と合わせて使用することで3軸分の角速度の計測が可能になります。

  角速度
測定レンジ ±100, 500, 1.5k, 6k, 8k, 12k, 18k deg/sec
周波数範囲(±3dB) DC~2kHz
駆動電圧 5-16Vdc
温度範囲 -40~105℃
サイズ、重さ 14.6 x 10.2 x 7.62mm、3g

図5:「7310A」の仕様

あとがき

Endevco社は米国における振動、衝撃、圧力測定センサの主要メーカーです。およそ70年にわたって様々なアプリケーションへ正確で信頼性の高いデータを提供してきました。
東陽テクニカはEndevco社製センサの販売のみならず、技術サポートやシステムの提案を行い、快適な車室の自動運転車の開発に貢献していきます。

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