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ホイール6分力計の原理とその応用(2)
~東陽テクニカの提供するソリューション~

「ホイール6分力計の原理とその応用」コラム一覧

目次

今後の展開 ~NVH分野への適用~

今後、EV/HEVがより一層普及していくと、ますますロードノイズに対する要求が厳しくなってきます。ロードノイズを対策していくうえで重要になるのが、ノイズ源の特定、およびノイズの伝達経路の特定になります。タイヤから入力される力のどの方向の力が評価点に寄与しているか、またその力がどのような経路を通って評価点に達しているかを明らかにすることです。これには伝達経路解析(TPA)という技術が利用できます。TPA自体はこれまでもNVHの分野で一般的に利用されてきた技術ですが、今後はロードノイズの解析においても有効な手段となっていくと考えられています。Daimler AGは2016年にSAEに投稿した論文中で、ホイール6分力計とTPAの技術を活用して、車内ノイズに寄与する要素を明らかにしています。この論文の中では、X軸周りのモーメント、およびY軸の並進力が車内ノイズへの寄与が大きいと結論づけています。

図1:車内への寄与度-リファレンス車両
(ホイールの回転方向加振(上)とホイールの並進方向荷重(下))
(出典:Fink, F. and Koners, G., "Prediction of Wheel Forces and Moments and Their Influence to the Interior Noise," SAE Technical Paper 2016-01-1834, 2016)

東陽テクニカでは株式会社本田技術研究所が開発した“実稼働データによる伝達経路解析手法”を、弊社取扱い製品であるMueller BBM社の「PAK」システムへの機能オプションとして組み込み、販売しています。実稼働TPAは、統計処理を用いた新しいTPAの手法で、従来法で課題となっていた時間的なデメリットを解消した手法になります。加振実験の必要がなく、実稼働時の信号のみで寄与を把握できるため、短時間で評価点に対する寄与を把握できます。

図2:Mueller BBM社のPAKシステム

この技術を利用すると、例えば、参照点として、サスペンションの振動を加速度計で、タイヤの放射音をマイクロフォンでそれぞれ計測し、実稼働TPAを実施することで、ロードノイズが固体伝播、つまりサスペンションからボディという経路で伝わっているのか、放射音として空気伝播で入ってくるのかを分離することができます。その後、固体伝播の寄与が高い場合は、「SWIFT Evo」と実稼働TPAを使うことで、ホイールに加わる6分力の、どの方向の力が耳位置の音に寄与しているのか、ということを短時間で把握することができ、効率的なタイヤ開発を支援できると考えられます。弊社では、PCB社製のバラエティに富んだ加速度計、マイクロフォンを取り扱っており、ロードノイズの解析においても、トータルなソリューションを提供できます。

図3:PCB社製加速度計

図4:PCB社製マイクロフォン

今後の展開 ~CAEを使った疲労解析への適用~

変革期にある自動車業界において、開発コストの削減は急務となっています。その中でCAEの活用はますます大きな意味を持つようになっています。開発業務の中で多大な時間とコストのかかる耐久試験は、より一層、CAEの活用が求められている分野の一つでもあります。Virtual Proving Ground(仮想路面)というコンセプトが出現してからさまざまな進化を遂げてきたCAEでの耐久試験ですが、最近では中国自動車技術研究センター(CATARC)が耐久路面としてよく使用される石畳路面を使ったCAEモデルの作成に成功している論文を投稿しています。CAEを使って動的試験を行う際、①路面モデル②タイヤモデル、③車両モデルが必要となりますが、この論文の中では、レーザー、カメラ、ジャイロ、GPSを搭載した車両で路面の高精度な3Dデータを作成し、タイヤモデルはFTireモデルを採用してCAEモデル完成させています。そして、これらのモデルの妥当性を確認するために、ホイール6分力計による車軸入力、加速度計によるハブの加速度、ストロークセンサーによるショックアブソーバーのストローク量を使って、実験によるデータとCAEから計算されたデータを照合させています。

図5:各種センサを搭載した計測車両(左)とVPGシミュレーションモデル(右)
(出典:Yang, J., Wang, X., and Li, X., “Research on Dynamic Load of Belgian Event Based on Virtual Proving Ground,” SAE Technical Paper 2019-01-0170, 2019, doi:10.4271/2019-01-0170.)

東陽テクニカは、路面の凹凸をLiDARを用いて計測することができるXenomatiX社製路面形状計測システム「XenoTrack-RT」を取り扱っています。「XenoTrack-RT」は、時速250kmで走行が可能で最高2mmの精度で路面形状を測定し、CAEで使えるようなCRGファイルとしてデータを出力することができます。

図6:XenomatiX社製 路面形状計測システム「XenoTrack-RT」

タイヤ、サスペンション、ボディ、路面などのCAEモデルができたとしても、そのモデルの妥当性を確認しなければ、CAEによる結果の信頼性を語ることができません。CAEで車両の動的解析を行う上で精度に大きな影響を与える因子に、タイヤとサスペンションのモデルが挙げられます。この精度検証を行うには、ホイール6分力計による車軸の6分力の計測、および、ストロークセンサーによるショックアブソーバーのストローク計測が必要です。弊社では、これまで述べてきたPCB社製のホイール6分力計「SWIFT Evo」に加え、MTS社製磁歪式変位計「Temposonics」を取り扱っています。その他、PCB社製の加速度計、独国imc社製のデータロガーも取り扱っており、CAEを使った耐久試験で必要となる計測をトータルに提供することが可能です。

図7:東陽テクニカの取り扱う製品群

PBC社製ホイール6分力計「SWIFT Evo」

MTS社製磁歪式変位計「Temposonics」

PCB社製加速度計

imc社製データロガー

本記事に掲載の計測試験にご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください

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