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 執筆者:CHAdeMO協議会 事務局長 吉田 誠氏

CHAdeMO規格の技術動向と展望

CHAdeMOとは、電気自動車(EV)用DC充電規格の一つです。その規格を策定・普及するCHAdeMO協議会は、市場ニーズに応えるため、高出力化、双方向給電などの機能拡張を行ってきました。車載電池の価格低下・高性能化に伴いEVの充電インフラにおいても高出力化が求められています。また、世界中で再生可能エネルギーの大量導入が電力系統に及ぼす問題が指摘されている中、大容量の蓄電池を持つEVの普及がこの問題解決に結びつくとの期待も大きくなっています。

目次

CHAdeMOの普及状況

CHAdeMO方式に対応したEVが初めて市場に登場した2009 年、急速充電器も複数の国内メーカーから販売が開始されました。2010 年3月にはCHAdeMO協議会が設立され、車両の海外販売や充電器の認証制度の開始など、CHAdeMO方式普及拡大の素地ができ、海外メーカーによるEV・充電器の製造・販売も始まりました。
2019年3月現在、国内では国の普及政策の支援もあり、47 都道府県の全てに計7,500基超の急速充電器が設置されました。世界では図1に示すように2016年から導入のペースが加速しており、現在では20,000基を超えさらにこれから普及拡大が予想されます。

図1:CHAdeMo急速充電器の普及状況

図1:CHAdeMo急速充電器の普及状況

標準規格と市場動向

各国の工業規格は、グローバル市場での競争力を確保するため、通常ISO/IEC1)などの国際標準と整合を図ります。日本ではDC充電規格を2014年10月にJISとして発行する際、IECの規格を公平に引用し、3種類のシステム形態と4種類のコネクタを併記しました。

欧州でも、地域規格を審議するCENELEC(欧州電気標準化委員会)がタイプ2CCSに加えCHAdeMOを併記することになりました。その結果2015年以降は、CCSとCHAdeMO の複数の方式に対応するマルチアーム充電器が主流となっています(図2)。

図2:マルチアーム充電器

図2:マルチアーム充電器

大容量・高性能のEVで自動車市場に参入したテスラは、100kW 超の独自規格を採用し主要市場で専用の充電スタンドを整備してきましたが、各国が標準規格の充電インフラ整備を公的支援で進めた結果、各種のアダプタやインレットの数を増やすなどの対応を強いられています。
中国は、GB/T 規格がIEC 標準となり、政府主導で自国メーカー支援によるEV導入政策および充電インフラ整備を進めた結果、今やEV・充電インフラの市場規模で世界の90%近くを占めるEV 大国となっています。

高出力化への対応

2015年のフォルクスワーゲンによる排ガス不正の発覚以降、それまでディーゼル車を主力としていたドイツの自動車会社各社は、相次いでEVへの転換方針を明らかにしました。また同時期にテスラが発表したモデル3が低価格ながらそれまでの競合車種を上回る220マイル(約354km)の航続距離を実現したため、その後2018 年以降に市場投入されるモデルの多くは400 ~ 500km以上の航続距離となっています。これはリチウムイオン電池の価格低下が急速に進んだ結果と考えられます。航続距離の延長に伴いバッテリー容量が大きくなるため、充電器にも高出力化が求められるようになります。IECの規格改訂審議では電流値を400Aとすることが合意され、CHAdeMO 仕様もこれまでの最大電流125Aを400Aに改訂しました。
このような状況の中、CHAdeMO 協議会は2018年8月、中国電力企業連合会と次世代の超高出力充電規格ChaoJiを共同開発することで合意しました。合意内容の最大の特徴は既存規格であるCHAdeMOとGB/Tの両方に後方互換性を持たせるとしたことです。ChaoJi 開発プロジェクトは2 国間の協力にとどまらず広く参加を呼び掛けており、特にこれから市場の急成長が見込まれるアジア諸国において新統一規格がEV普及を促進する一助になればと考えています。

図3:DC急速充電規格

図3:DC急速充電規格

双方向給電機能

日本では東日本大震災の際、ガソリンの供給が滞る中、いち早く復旧した電力インフラを利用できるEVが、被災地で医療関係者や復興支援者の移動手段として活躍しました。また、EVの大容量電池は非常時の電力供給に利用できることが注目され、V2H/V2L2)の技術開発を加速させる契機となりました。2012 年3月に三菱自動車がV2L製品「MiEV power BOX」を、同年8月には日産自動車がV2H製品「LEAF to Home」を販売したのを皮切りに世界中でさまざまな製品が開発されています。
また、CHAdeMOの双方向給電機能を用いた実証試験が世界各地で行われています。国内の代表的なプロジェクトとしては、2011年から2015年まで経済産業省資源エネルギー庁が横浜市ほか4 地域でコミュニティレベルのエネルギーマネジメント最適化を検証する「次世代エネルギー・社会システム実証事業」を実施、分散型エネルギーの一つとしてEVの充放電システムが組み込まれました。さらに2016年からは「バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」を開始しました。VPPとは、家庭や工場などの需要家側の複数のエネルギー設備をアグリゲータと呼ばれる事業者が遠隔制御することにより、あたかも一つの発電所のように動作させ電力系統の需給調整力とする仕組みです。今後EVが大量に普及すると、重要なリソースになると期待されています。

おわりに

EV用DC急速充電規格には、高出力化と双方向給電機能という二つの技術トレンドが進行しています。高出力化という面では、日中が共同開発するChaoJiが次世代の統一規格となることが期待されています。また、双方向給電技術は、将来自動運転と非接触充電が実用化されれば、ケーブルを接続したりタイマーを設定したりという人間の介在を不要とします。それによって、大容量の蓄電池を持つEVと電力システムとの融合がさらに進化し、新たなエネルギー社会の実現に貢献することが期待されます。

1) 国際電気標準会議。電気および電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関。
2) Vehicle to Home(自動車に蓄えた電気を家で使う仕組み)とVehicle to Load(電動車両が蓄えた電気を電気機器に供給する仕組み)

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