全固体電池の研究開発を支える「高周波インピーダンス測定システム」に搭載、温度制御しながら 100MHz の高周波インピーダンス測定を可能にするプローブで特許を取得

※本記事は2019年1月29日に掲載した記事の再掲載となります。情報はもとの掲載日現在の情報です。
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株式会社東陽テクニカ(本社︓東京都中央区、代表取締役社長:五味 勝)は、自社開発の全固体電池の電解質評価ソリューション「高周波インピーダンス測定システム」に搭載のプローブで特許を取得いたしました。測定試料を挟み込む電極間の電気的な絶縁性を格段に向上させ、さらに電気絶縁性が環境温度の変化から受ける影響を極めて小さくするプローブ技術です。

本特許技術により「高周波インピーダンス測定システム」は、80K~473K(-193℃~200℃)の広い温度範囲でも 100MHz の高周波インピーダンス測定を正確に行うことができ、全固体電池の構成材料である固体電解質の粒内および粒界の各反応抵抗の測定ができる世界唯一※1 のシステムです。

本システムを、2018年11月27日(火)~29日(木)にグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)で開催される「第 59 回電池討論会」(ブース番号 15)に展示いたします。

JQA彩都電磁環境試験所|自動車計測ポータルサイト|東陽テクニカ

全固体電池の電解質評価ソリューション「高周波インピーダンス測定システム」

注目される全固体電池

近年、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器や EV などにリチウムイオン二次電池が使用されていますが、さらなる高性能化への期待が大きい一方で、相次ぐ発火事故で安全性が問題視されています。全固体電池はこのリチウムイオン二次電池の電解質を可燃性のある液体から固体に変えた電池で、従来のリチウムイオン二次電池より、高エネルギー密度・小型・軽量など優れた特性を持ち、次世代の電池として注目されています。特に、EVにおいては航続距離を延ばす究極の電池として期待されており、トヨタ自動車は 2020 年代前半に、世界に先駆けて全固体電池の実用化を目指すことを発表、注目されています。

新技術で特許取得

東陽テクニカは、全固体電池内の固体電解質のイオン伝導度を評価するソリューションとして「高周波インピーダンス測定システム」を自社開発し、2017 年 10 月 1 日から販売しています。インピーダンスアナライザとクライオスタット※2 機能付サンプルホルダとを組み合わせ、自社開発の専用制御ソフトウェアによって、温度可変とインピーダンス測定を完全自動で行うシステムです。

全固体電池の正確な評価を行うためには、高周波でのインピーダンス測定によって、固体電解質の各反応抵抗(粒内/粒界)を分離することが必須です。しかし、従来のインピーダンスアナライザは、クライオスタットなどの温度調節器を組み合わせて使用する場合、測定ケーブルの浮遊容量※3 の影響で 1MHz 以上のインピーダンスを正確に測定することが困難です。インピーダンス測定において、浮遊容量の影響を最小限にするためには、測定試料(ペレット、粉体)を挟み込む上下の各プローブを電気的に絶縁させる必要があります。さらに、電気的な絶縁性は周囲の温度に応じて変化するため、室温から大きくかけ離れた環境温度においても絶縁性を保つ必要があります。

これら難題を解決するために、東陽テクニカは、クライオスタットも含めた測定ケーブルの影響を最小限に抑えるためのプローブを開発し、特許を取得しました。最大 100MHz と、従来に比べて 2 桁高い高周波での正確なインピーダンス測定を世界で初めて実現しています。本特許技術によって、固体電解質の各反応抵抗(粒内/粒界)を分離することができるようになり、正確な伝導度評価が可能になりました。また、専用の制御ソフトウェアによって、全自動で 80K~473K(-193℃~200℃)の温度範囲を制御し、各温度のインピーダンス測定から活性化エネルギーを算出することもできます。

本システムの使用により、固体電解質の材料選択や作製方法を検討する上で重要なデータを取得することができます。温度を自動制御しながら 100MHz の高周波のインピーダンス測定できる本システムは、全固体電池の効率的な研究・開発に寄与します。

特許概要

  • 日本国特許第 6324648 号
  • 発明の名称:「プローブ」
  • 100MHz の高周波数領域での正確なインピーダンス測定を実現
  • 80K~473K(-193℃~200℃)の広い温度範囲で使用可能
  • 専用制御ソフトウェアで温度可変とインピーダンス測定を全自動化
  • 密閉/加圧式のサンプルホルダにより、圧粉体の測定も可能
  • 製品名:「高周波インピーダンス測定システム」
  • 製品構成:
    • インピーダンスアナライザ(20Hz~120MHz)
    • 高周波対応クライオスタット機能付サンプルホルダ(サンプルロッド・サンプルホルダ・温度コントローラ)
    • EDMS 制御ソフトウェア
  • 販売価格:1,250 万円(税別)~

“第 59 回電池討論会”に展示

2018 年 11 月 27 日(火)~29 日(木)にグランキューブ大阪で開催される“第 59 回電池討論会”に、「高周波インピーダンス測定システム」を展示します。

  • 会期: 2018年11月27日(火)~29日(木)
  • 会場: グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
  • ブース番号: 15
  • 「第59回電池討論会」公式サイト:http://www.knt-ec.net/2018/denchi59/index.html

※1 温度の自動制御をしながら 100MHz の高周波測定ができるインピーダンス測定システムとして。2018 年 11 月 20日時点。当社調べ。
※2 測定したい試料の物性測定や構造解析を行う目的で試料を低温に保つサンプルホルダ。
※3 ケーブルの種類、配線、取り回しなどによりケーブルに発生する容量成分で、測定誤差の原因となる。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社東陽テクニカ 理化学計測部
TEL:03-3245-1103(直通)
E-mail:keisoku@toyo.co.jp
東陽テクニカ「高周波インピーダンス測定システム」紹介ページ:https://www.toyo.co.jp/material/products/detail/4990EDMS_120K

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