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コラム
株式会社東陽テクニカ 機械制御計測部 小島 健介

動力の歴史を変えるモータ開発の最前線
~トップランナーモータ、超高速モータ:省エネと高性能モータ開発のためのトルク計測~(2)

*東陽テクニカルマガジン【第16号】2015.4より掲載

連続の高出力:空冷式ヒステリシスブレーキ

三相誘導電動機の効率を測定する際、モータに熱電対を貼り付け、内部の温度が安定するまで1時間や3時間といった連続でトルクを加える必要があります。
ヒステリシスブレーキは、トルクが発生すると次の式で表される出力を受けて発熱します。

そのため、連続でトルクを発生させるには、この熱を冷やす必要があります。Magtrol社のヒステリシスブレーキは、ブレーキの内部を冷却するためにブロワ冷却式のBHBシリーズと、エアコンプレッサー式のAHBシリーズがあります。

ブロア空冷式ヒステリシスブレーキ BHBシリーズ

ブロア空冷式ヒステリシスブレーキ BHBシリーズ

高精度なトルク計

モータ効率は、1% 改善すれば極めて大きな効果であり、実際の測定は0.1% の桁が必要となります。Magtrol社のトルク計はフルスケール±0.1% という世界トップクラスのトルク精度であり、温度による変化も±0.01% / ℃ となっています。
また、トルク検出部がアナログ回路で組まれており5kHzの帯域がありますので、トルクの変動成分も含めた評価ができます。モータの電流・電圧の変動成分とともに、トルクの変動成分も高い帯域で測定することで、より正確な効率の評価に繋がります。

両軸型トルクトランスデューサ TMシリーズ

両軸型トルクトランスデューサ TMシリーズ

システムアップ・自動試験

当社は、上記のブレーキ・トルク計などの機器の選定だけでなく、モータ固定台・軸合わせ・データ収集といった技術を蓄積し、お客様のご要求にあったカスタム試験ベンチを構築してきました。

カスタム試験ベンチ例

カスタム試験ベンチ例

JISに規定された三相誘導電動機の試験は、複数のトルクの条件で測定を行うため、1 回の試験が1日から3日ほどの長時間となることがあります。そこで、自動化により試験者の負担を軽減する対策も必要となります。

カスタム試験ベンチ例

当社の取扱い製品のデータロガー・ソフトウェア等を組み合わせることで、この自動化を実現することができます。例えば、一定トルクで1時間の負荷を与え、モータの温度が飽和したことを判定した後、モータ入力端子の抵抗を自動で測定して結果をレポートにまとめるという一連の操作が自動化されます。

超高速のモータ開発現場

当社が取り扱っているMagtrol社の製品は、高精度のトルクに加えて、超高速のブレーキ負荷装置に強みがあります。
2014 年の夏、Magtrol 社は新製品の1WB27ダイナモメータ( 10万rpm, 1kW,0.15N・m)という世界初(※ Magtrol社調べ) のダイナモメータを開発しました。この製品を様々な分野で開発に携わる方々へ紹介しましたところ、「世界中を探しても他にない物だから購入したい」というご意見もあれば、「もっと高速でトルクの大きな装置がほしい」というご要望も多く頂きました。現状、Magtrol社ではこれ以上のハイスペックな製品の開発は厳しいのですが、私自身も「モータ開発の現場はそこまで進んでいるのか」と驚き、同時に日本の技術の高さを実感しました。
インターネットや技術誌をご覧頂くと超高速モータに関する様々な情報が得られます。特に私自身が接する機会が多い技術は、自動車の電動ターボチャージャーです。ターボチャージャーとは、自動車の排気ガスのエネルギーでタービンを回し、その力で圧縮された空気をエンジンに送り込むというエネルギーを再利用する仕組みです。その回転数は10 万rpmや20 万rpmという超高速になります。近年はモータの制御技術が進歩し、これを電動化することで排気ガスの流量が少ない場合でも電気でタービンを回すことができる製品の開発が盛んに行われています。

超高速ダイナモメータ(10万rpm)1WB23/27シリーズ

超高速ダイナモメータ(10万rpm) 1WB23/27シリーズ

Magtrol社では、より小型のモータ用にメガスピードダイナモメータ(35万rpm, 20W,0.05Nm)という装置も扱っています。このアプリケーションは歯科用のエアタービンや微細加工用の小型モータです。このように超高速の小型モータはこれまでトルクを実測せずに製品化していましたが、この装置で実測をすることで設計通りの性能が出ているかどうかの評価が可能になります。

メガスピードダイナモメータ

メガスピードダイナモメータ

Magtrol社では、より小型のモータ用にメガスピードダイナモメータ(35万rpm, 20W,0.05Nm)という装置も扱っています。このアプリケーションは歯科用のエアタービンや微細加工用の小型モータです。このように超高速の小型モータはこれまでトルクを実測せずに製品化していましたが、この装置で実測をすることで設計通りの性能が出ているかどうかの評価が可能になります。

おわりに

今後のモータ開発では、レアアースが含まれた永久磁石を使わないスイッチドリラクタンス(SR)モータや、高度な制御を行うことで効率アップをするインバータのように、様々な方法で省資源・省エネ・快適さを実現する技術が期待されています。
Magtrol社および当社は、高精度・高速のモータトルク計測分野のリーダーとして、動力の歴史を変えるモータ開発の最前線に求められる試験装置を提供し、日本の産業の発展に貢献していきたいと考えています。

*東陽テクニカルマガジン【第16号】2015.4より掲載

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