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コラム
株式会社東陽テクニカ EMCマイクロウェーブ計測部 今泉 良通

複雑化する電磁環境への対応
自動車・電装品に対するEMC 大電力RFパワーアンプ/EMS試験システム(1/2)

*東陽テクニカルマガジン【第11号】2014.1より掲載

EMC 環境とは?

EMC:Electromagnetic Compatibility「電磁両立性」とは、「電気・電子機器などが電磁環境を汚染し、他に妨害を与えるような不要電磁エネルギーを放出することも、また同時に電磁環境の影響を受けることもなく、その性能を十分に発揮できる能力」とIEE電気・電子標準述語辞典に定義されています。つまり製造された電子機器がその動作によって他の製品に電磁妨害を与えず、またその動作が電磁環境下で妨害を受けない能力のことです。市場に送り出されるほとんどの電子機器は、雷などの自然現象や他の機器によって形成される電磁環境の影響を受け、これらの電磁環境の中で共存していくことが求められます。これが「電磁両立性」の意味するものです。
しかし、これは容易なことではありません。例えば、携帯電話を使用する際は、当然アンテナから電磁波が放射されます。この電磁波は通信を行うためには必要なものですが、近くにあるテレビによっては雑音の原因となる不要電磁波以外の何物でもありません。今日では、いたるところでこのような環境が存在しています。

図1:自動車内のEMC環境例

図1:自動車内のEMC環境例

自動車を取り巻くEMC環境

EMC 試験の重要性

図1は自動車内外のEMC環境例です。自動車の車内は、多くの電子装置が密集しているだけでなく、ノイズに敏感な受信機や大きな信号を出力する送信機などが共存している非常に厳しいEMC 環境と言えます。近年のEV/HVは、従来の内燃機関の自動車構造と大きく変わり、ノイズ発生源も多様化し一層EMC環境を複雑で苛酷なものにしています。もちろん車内だけではありません。自動車が何百kWもの送信電力を持つラジオ塔や強力なレーダ波を照射する航空管制塔などの近くを走行したら? 静電気を帯電したドライバが車内の電装品に触れたら? EV充電中に近くに雷が落ちたら?などの意図しない電磁妨害にさらされることも日常です。
そこで、疑似的にこれら電磁的なストレス環境を作り、それに対する耐性を確認する試験が重要になります。これをEMSまたはイミュニティ試験と呼んでおり、電子機器から放射される不要な電磁放射を抑えることを目的としてそのレベルを測定するEMI測定とは反対に位置します。自動車など走行車両にとっては小さな誤作動が重大事故にも繋がるため、これらの試験は非常に重要です。このために、自動車向けのイミュニティ試験では、その他の情報処理装置や家電装置に比べて数十倍から数百倍も強い電磁的ストレスを与えて電磁環境に対する安全性を確認しています。

自動車に対するEMS試験要求

ISO(国際標準化機構)にて自動車および自動車部品に対する試験要求がガイドラインとして提示されています。さらに自動車メーカ各社はISO規格よりも数段厳しい電磁環境での試験を実施しています。

  • 放射イミュニティ試験 自動車要求
    - 国際規格 ISO11451-2:10kHz-18GHz 25-100V/m
    - 自動車メーカ実施試験例:100KHz-18GHz 50V/m-600V/m
  • 放射イミュニティ試験 自動車電装品要求
    - 国際規格 ISO11452-2:80MHz-2GHz 25-100V/m
    - 自動車電装品メーカ実施試験例:200MHz-3.2GHz 100V/m-600V/m

これらは公道走行中にさらされる可能性のあるTV・ラジオ放送局や航空管制塔レーダなどからの電磁界環境を想定したものです。その他に、車内に携帯電話や通信機能が付属された端末などを持ち込んだ場合や、人体からの静電気や落雷などを想定したものや、最近ではEVなど家庭で充電を行うために家電装置とのEMC両立性を定義した試験規格も発行されています。

*東陽テクニカルマガジン【第11号】2014.1より掲載

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