Fraunhofer IWS Dresden

超薄膜ヤング率測定システム LAWave

LAWaveシステムは、DIN 50992-1に基づいた測定システムです。表面弾性波を用いて5nm厚のDLCなどの薄膜の機械特性評価を非破壊で行うことができます。測定時間は、1点当りわずか1分以内です。また、特別な試料調整も必要ありません。

特長

主なアプリケーション

  • 薄膜: DLC、TiN、BN、CN、TiC、Al 等
  • 基板: シリコン、鉄、アルミ、セメントカーバイド 等

超薄膜のヤング率測定

LAWaveは、膜厚と密度が既知の試料に対して、膜厚100nm以下のような超薄膜のヤング率を測定することができます。 原理上、基板より硬い薄膜であっても測定可能です。
DLC薄膜に関しては、5nmの超薄膜のヤング率測定を実現しています。

試料調整不要の非破壊測定、高スループット

ヤング率を測定する方法としては、膜歪み法、押し込み試験法、ブリュアン散乱法、超音波顕微鏡法、共鳴振動法などが挙げられます。 しかしながらこれらの手法は、特別な試料調整を必要とする、破壊測定である、非常に長い測定時間がかかる、もしくは サブミクロンあるいはナノメートル厚の薄膜には有効ではない といった問題点を抱えていました。
LAWaveは、特別な試料調整を要することなく、また 1測定点当りの測定時間も1分以内で超薄膜のヤング率を再現性良く測定することができる、使い勝手が格段に向上した手法です。

DIN規格準拠

LAWaveによる測定は、すべてDIN50992-1に準拠して行われます。 繰り返し精度は99.9%以上です。 DIN50992-1の参考資料もご用意しております。

多層膜測定に対応

LAWaveでは、2種類、条件によっては3種類の材料から構成される多層膜を測定し、それぞれの材料のヤング率を求めることも可能です。多層構造物の機械特性評価への新たな可能性が広がります。

加工変質層の有無の評価

SAW法は試料表面の物性に敏感です。 LAWaveは、分散曲線の傾きから加工変質層の有無の評価を行うことができます。

テクノロジー

測定原理

LAWaveシステムは、試料表面にレーザーを照射し、音波を励起させます。 励起された音波は試料表面に沿って伝播します。
この音波は検出器で検出され、レーザー超音波信号としてオシロスコープに記録されます。 この信号をフーリエ変換して、周波数―位相速度の曲線を求めます。 この曲線は試料のヤング率、密度、膜厚に依存し、解析ソフトウェアによってヤング率が計算されます。

SAW法とは

SAW(表面弾性波)法とは、試料にパルスレーザーを照射して励起された表面弾性波を圧電素子で測定し、専用ソフトウェアによって分散曲線(周波数―位相速度)を計算する方法です。
分散曲線の式はヤング率、密度、膜厚、及びポアソン比で決定されますので、既知のパラメータ(例えば膜厚とポアソン比)を入力して、未知のパラメータ(例えばヤング率と密度)を求めることができます。
LAWaveシステムでは、専用ソフトウェアによって分散曲線の形状から、ヤング率、密度、もしくは膜厚を算出します。一部の試料(DLCなど)については、ヤング率と密度の相関関係のテーブルが用意されています。 これを用いることで、既知の膜厚の試料に対して、ヤング率と密度を同時に算出することができます。

仕様

レーザー (N2レーザー)

プロテクションクラス 3B
波長 337 nm
出力 0.4 mW (10Hz平均)
パルスエネルギー 0.4 mJ
パルス幅 0.5 ns

リニアテーブル

可動範囲 25 mm
再現性 1.5 µm
絶対精度 5 µm (25mm移動時)

デジタルオシロスコープ (15インチモニタ付)

サンプリングレート 4×109 /s (4 GHz)
バンド幅 600 MHz

レーザーアコースティックデバイス(レーザービームガイド、表面弾性波検出器)

最大試料サイズ 100 mm (直径) (300mmウェハ対応品も別途ございます)
バンド幅 250 MHz

寸法/重量

本体寸法 0.8 × 1.0 × 1.5 m
本体重量 約 200 kg

試料の条件

試料の形状 表面が平滑であること
サイズ 10 × 5 mm 以上
厚さ シリコン: 0.3 mm 以上、 その他: 2 mm 以上
表面の粗さ 十点平均粗さ Rz: 1 µm 以下 (表面が滑らかであるほど超薄膜に対する感度が高くなります)
透明度 薄膜または基板がレーザーの波長(337nm)を吸収すること
微小構造の影響 超薄膜に対して高い感度を得る条件:
・微細な粒子を持つ材料
・シリコンのような単結晶

測定例

2種類のコート材をシリコン[100]のコートなしと比較した分散曲線。 基板に対して膜のヤング率が大きい場合は右肩上がりの曲線に、小さい場合は右肩下がりの曲線が描かれます。

シリコン[100]上の膜厚60~100nmのDLC膜の分散曲線。 理論曲線(点線)と実験値(実線)との一致にもご着目ください。

シリコン上の、作成条件の異なるDLC超薄膜の分散曲線。 4.2~5.2nmの超薄膜のヤング率が求まっています。

窒化の深さの異なる窒化鉄の分散曲線。 この表面処理は、連続的に硬度の低下する拡散層を物質中に形成します。 分散曲線を比較することで、窒化による硬化の深さを比較することができます。

鉄上のDLC/Alの多層膜の分散曲線。 DLCとAlが交互に重なり合った多層膜におけるDLCのヤング率測定に成功しています。

SAW法と押し込み試験法で測定したDLC膜のヤング率の比較。 DLCの膜厚は1~2µm。

アプリケーション

2種類のコート材をシリコン[100]のコートなしと比較した分散曲線。 基板に対して膜のヤング率が大きい場合は右肩上がりの曲線に、小さい場合は右肩下がりの曲線が描かれます。

シリコン[100]上の膜厚60~100nmのDLC膜の分散曲線。 理論曲線(点線)と実験値(実線)との一致にもご着目ください。

シリコン上の、作成条件の異なるDLC超薄膜の分散曲線。 4.2~5.2nmの超薄膜のヤング率が求まっています。

窒化の深さの異なる窒化鉄の分散曲線。 この表面処理は、連続的に硬度の低下する拡散層を物質中に形成します。 分散曲線を比較することで、窒化による硬化の深さを比較することができます。

鉄上のDLC/Alの多層膜の分散曲線。 DLCとAlが交互に重なり合った多層膜におけるDLCのヤング率測定に成功しています。

SAW法と押し込み試験法で測定したDLC膜のヤング率の比較。 DLCの膜厚は1~2µm。