Geminiシステムは2軸での試験を実現し、ナノスケールでのトライボロジー特性評価を実現できる装置として期待されています。これは商業ベースでは世界で初めてとなります。これまで薄膜材料では測定困難とされてきたスティックスリップ現象や潤滑性といった様々な摩擦・磨耗特性およびポアソン比の測定が可能になります。
Geminiヘッドの外観
Geminiは押し込みヘッドを直行させる形で取り付けられており、それぞれが微小振動を加えることが可能です。その微小振動から接触剛性(スティフネス)を計算しすることができます。これらの比をとればポアソン比が算出できます。下図は熱溶融石英のポアソン比算出事例で、求まった0.196という値は文献値0.188に非常に近い値です。押し込み深さは600nm程度で、今後薄膜の評価が期待できる深さです。
位相の変化を検出することにより、スティックスリップ摩擦の検出も可能です。下図は水晶に対して実験を行ったものです。滑り出しがどのようにして起き始めるか、今までは検出不可能であった事象の解析が可能になります。