Lake Shore Cryotronics Inc.(レイクショア / USA)
ゲルマニウム抵抗温度センサー GRシリーズ
Lake Shoreのゲルマニウム抵抗センサーは、40年近くの歴史があり、0.05K~30Kまでの温度計測に使われる「二次標準温度計」として知られています。
温度が下降するとセンサー感度が非常に良くなるため、極低温下で高分解能を実現し、4.2K付近やそれ以下の温度でのサブミリケルビンのコントロールに最も適しています。
温度安定度はとても素晴らしく、4.2Kで±0.5mKの再現性があります。30K以下で最も優れた感度が得られるセンサーですが、磁場中での測定はお勧めしません。
株式会社東陽テクニカ 理化学計測部
phone03-3245-1103
Mail:keisoku[at]toyo.co.jp
特長
Lake Shoreのゲルマニウムセンサーは、2桁程度の測定有効レンジを持ち、その有効レンジはゲルマニウム元素のドーピングレベルに依存します。
本センサーは、0.05K以下から100Kまでの測定範囲を持ちます。100Kと300Kの間で、dR/dTはサイン波のように変化して、100K以上で は感度は極端に減少します。センサー抵抗は、使用できる温度の上限付近で数Ω、下限付近で数10kΩです。
温度が下降するとセンサーの感度が急激に良くなる為、極低温下で高分解能を実現し、4.2K付近やそれ以下の温度でのサブミリケルビンのコントロールに最も適しています。
センサーの安定度はとてもすばらしく、4.2Kで±0.5mKの再現性があります。ゲルマニウム抵抗センサーは、30K以下で最も優れた感度が得られるセンサーですが、磁場中での測定はお奨め致しません。
特長
■ 二次標準温度計として認知されている
■ 4.2K以下でサブミリケルビンのコントロールが可能な高感度性能
■ 4.2Kで±0.5mK以上の優れた再現性
■ 0.05Kから100Kで使える複数の製品ラインナップ
■ 放射線耐性が優れている
GRシリーズ ゲルマニウム抵抗センサーの抵抗温度特性と感度
仕様
- ■ 標準カーブ
- 無し
- ■ 推奨駆動電圧1
- 20μV(0.05K ~ 0.1K);
63μV(0.1K~1K);
10mV以下(T>1K)
- ■ 自己発熱
- 10-13W@0.05K、10-7W@4.2K(型式に依存する)
(推奨駆動電圧使用時)
- ■ 温度応答時間
- 200ms@4.2K、3s@77K
- ■ 放射線下での使用
- 使用可
- ■ 磁場中での使用
- 磁場強度および磁場到来方向による影響を大きく受けることがある
- ■ 再現性2
- ±0.5 mK @ 4.2K
- ■ 安定性3
- ±1 mK/年 @ 4.2K
± 10 mK/年 @ 77K
1 低温(T < 1 K)での推奨値はレイクショアで校正に使用している370型ACブリッジの値をもとにしている
2 再現性(短期再現性)の値は305Kから4.2Kのサーマルショックの結果
3 長期安定性の値は200回のサーマルショックの結果です(305 K ~ 77 K )
使用温度範囲
低温側リミット | 高温側リミット | |
---|---|---|
GR-50-AA | < 0.05K | 5K |
GR-300-AA | 0.3K | 100K |
GR-1400-AA | 1.4K | 100K |
3 ティピカル
校正後の確度
センサーの確度(ティピカル)4 | |||
---|---|---|---|
GR-50 | GR-300 | GR-1400 | |
0.05K | ±5mK | ― | ― |
0.3K | ±5mK | ±4mK | ― |
0.5K | ±5mK | ±4mK | ― |
1.4K | ±6mK | ±4mK | ±4mK |
4.2K | ±6mK | ±4mK | ±4mK |
77K | ― | ±25mK | ±15mK |
100K | ― | ±32mK | ±18mK |
4 [(校正の不確かさ)2 +( 再現性)2]0.5
磁場による誤差6 Δ T/T(%)
温度(K) | 2.5T | 8T | 14T |
---|---|---|---|
2 | -8 | -60 | ― |
4.2 | -5 ~ -20 | -30 ~ -55 | -60 ~ -75 |
10 | -4 ~ -15 | -25 ~ -60 | -60 ~ -75 |
20 | -3 ~ -20 | -15 ~ -35 | -50 ~ -80 |
5 センサーの長軸方向に磁場を与えた場合
抵抗値(ティピカル)
抵抗値 (ティピカル)@4.2K |
抵抗値の範囲 (ティピカル)@4.2K |
|
---|---|---|
GR-50-AA | 30Ω | 9Ω ~ 65Ω |
GR-300-AA | 95Ω | 15Ω ~ 155Ω |
GR-1400-AA | 1750Ω | 350Ω ~ 6500Ω |
温度応答データ(ティピカル)
GR-50-AA | GR-300-AA | GR-1400-AA | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
抵抗 (Ω) |
dR/dT (Ω/K) |
(T/R) (dR/dT) |
抵抗 (Ω) |
dR/dT (Ω/K) |
(T/R) (dR/dT) |
抵抗 (Ω) |
dR/dT (Ω/K) |
(T/R) (dR/dT) |
|
0.05K | 35000 | -3642000 | -5.203 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
0.1K | 2320 | -71860 | -3.101 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
0.2K | 364.3 | -4043 | -2.218 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
0.3K | 164.0 | -964.0 | -1.763 | 35180 | -512200 | -4.367 | ― | ― | ― |
0.5K | 73.75 | -202.9 | -1.376 | 5443 | -34800 | -3.197 | ― | ― | ― |
1.0K | 33.55 | -31.33 | -0.934 | 875.7 | -1901 | -2.170 | ― | ― | ― |
1.4K | 24.73 | -13.15 | -0.7445 | 448.6 | -581.3 | -1.814 | 35890 | -94790 | -3.698 |
2.0K | 19.32 | -6.167 | -0.6383 | 248.8 | -187.4 | -1.507 | 11040 | -16670 | -3.020 |
4.2K | 13.66 | -1.036 | -0.3186 | 94.46 | -26.56 | -1.181 | 1689 | -861.9 | -2.144 |
10K | ― | ― | ― | 33.20 | -3.965 | -1.194 | 252.8 | -61.95 | -2.451 |
40K | ― | ― | ― | 7.789 | -0.2351 | -1.207 | 9.569 | -0.4489 | -1.876 |
77.4K | ― | ― | ― | 3.504 | -0.0496 | -1.096 | 3.545 | -0.0501 | -1.093 |
100K | ― | ― | ― | 2.716 | -0.0238 | -0.8754 | 2.796 | -0.0208 | -0.7441 |
使用素材等
質量 | リード線のタイプ | 内部雰囲気 | センサーの材質 | |
---|---|---|---|---|
GR-50-AA GR-300-AA GR-1400-AA |
395mg | 4色に色分けされたポリイミドをコートしたリン青銅線。センサーにはエポキシで折り曲げ防止管が取り付けられている。 | 4He @ > 500Ω 空気 @ < 500Ω |
容器は金メッキされた円柱状銅管。その中にドープされたゲルマニウムチップがひずみを受けない方法で取り付けられている。 |
1K以下の ゲルマニウム抵抗センサーの正しい選択法
従来から、ゲルマニウム抵抗センサーは4.2Kにおける抵抗でクラス分けされてきました。しかし、1K以下で使用される場合、4.2Kでの抵抗値と温度センサーとしての素子の安定性には相関関係がありません。そのため、レイクショアが提供する低抵抗のゲルマニウム抵抗センサー(GR-50-AA、GR-300-AA)は4.2Kにおける抵抗値ではなく、その使用可能な最低温度でクラス分けしています。
この抵抗値と温度の関係はすべてのゲルマニウム抵抗センサーに共通した特徴です。温度が低下するにつれて抵抗と感度(dR/dT)の値は指数関数的に上昇します。使用可能な最低温度は急激な抵抗の上昇と抵抗測定の困難さの双方が問題となるところで決まります。
以下はこれらのセンサーを使用する際に推奨する温度範囲を表しています。
R-50-AA 0.05 K ~ 1.0 K
GR-300-AA 0.3 K ~ 100 KG
低温になればなるほど温度分解能が向上します。
高温側の感度を悪化させるので必要以上に最低使用温度の低いセンサーは選ばないようにしてください。例えばGR-300-AAはGR-50-AAより1Kにおける感度が高くなっています。
GRシリーズの内部構造
1K以下での性能に支障をきたさないようにゲルマニウムデバイスが金属管に接触しない構造になっています。

リード線をユーザー側に向けて見た図です。

電極 | 色 | |
---|---|---|
W | I+ | 白 |
G | V- | 緑 |
Y | V+ | 黄 |
B | I- | 黒 |
オプション
温度センサーのご発注時(メーカー出荷時)に限り、リード線を延長する事が可能です。
ベアチップ(BR、BC、BG)につきましては、リード線の延長オプションはございませんので、あらかじめご了承ください。
※Formvar絶縁被覆の使用温度上限は378Kです。
378K以上でご使用の場合は、ポリイミド絶縁被覆のリード線をご選択下さい。
※450K以上でご使用の場合は、ご発注時に“90/10 PbSn半田使用”とご指定下さい。
<ご選択の手順>
- リード線の数を選ぶ:2線、4線
※2線は、ダイオードセンサーのみ - リード線の種類を選ぶ:
2線(DL、DT、DM、DN)
4線(QL、QT、MW、NM) - リード線の径を選ぶ:
30AWG、32AWG、36AWG、42AWG
※右の対応表より選択 - 延長するリード線の長さを選ぶ:2m、5m
※上記以外の長さの延長も可能。ご相談ください。
<ご注文方法>
延長オプションを適用する温度センサーの型番と共に下記をご指定下さい。
- XXYY-Z
XX :リード線の種類
YY:リード線の径の大きさ(AWG)
Z:リード線の長さ (メートル単位)
リード線の種類(XX) | リード線の径の大きさ(YY) |
---|---|
<2線式> ※ダイオードセンサーのみ使用可能 | |
DL = Duo-Lead | 36 |
DT = Duo-Twist | 32 or 36 |
DM = 2separate manganin wires |
30, 32 or 36 |
DN = 2separates phosphor-brozen wires |
32, 36 or 42 |
<4線式> | |
QL = Quad-Lead | 32 or 36 |
QT = Quad-Twist | 32(ポリイミド)or 36(Formvar) |
MW = Manganin | 30, 32 or 36 |
NM = Single-strand phosphor-broze |
32, 36 or 42 |
比較表
オーダーインフォメーション
未校正センサーの場合
左側の列から型名を選択するだけです。
(例:GR-50-AA)
校正センサーの場合
型名に校正範囲コードを付け加えてください。
(例:GR-50-AA-0.05A)
ゲルマニウムRTD | 校正範囲コード 見出し行 数値の部分は低温側の校正リミットを表す 英文字は高温側の校正リミットを表す 例:A=5K、D=100K |
|||
---|---|---|---|---|
型名 | 未校正 | 0.05 A | 0.3 D | 1.4 D |
GR-50-AA | ■ | ■ | ||
GR-300-AA | ■ | ■ | ■ | |
GR-1400-AA | ■ | ■ | ||
GR-50-CD | ■ | ■ | ||
GR-300-CD | ■ | ■ | ■ | |
GR-1400-CD | ■ | ■ |
注:他のパッケージも特注により可能です。弊社までご相談下さい。センサーの性能保証期間は納入検収をもって終了致します。
アップグレード互換表
旧タイプ | 新タイプ |
---|---|
GR-200A-30 | GR-50-AA |
GR-200A-100 | GR-300-AA |
GR-200A-250 | |
GR-200A-500 | GR-1400-AA |
GR-200A-1000 | |
GR-200A-1500 | |
GR-200A-2500 |