Nortek AS

DVL ドップラー速度ログ

Nortek社製DVL(Doppler Velocity Log、ドップラー速度ログ)は、移動プラットフォームに取り付け、移動しながら海底又は海中に音波を放射し、海底又は海中からの反射・散乱波のドップラーシフト量から対地速度、対水速度を計測するための装置です。
Nortek社が独自に開発した「AD2CP」と呼ばれるキーテクノロジープラットフォームを適用し、ブロードバンド対応により0.01mm/sもの高精度で対地・対水速度を計測できる高性能DVLです。

特長

特長

  • 業界最小サイズ
  • 高レンジ(最大200m:DVL500)
  • 海底接近距離(最小0.2m:DVL1000)
  • 省電力設計
  • イーサーネット通信
  • ピング及びビームごとのデータ品質評価

アプリケーション

  • 潮流計測
  • 乱流計測
  • 堆積物移動の研究
  • 氷厚計測、流氷トラッキング
  • 沿岸測量(シングルビーム測深)
  • プランクトン/バイオマス計測
  • 潮力発電タービンのモニタリング

テクノロジー

AD2CP(米国特許第7.911.880)

AD2CPは、以下の特徴を持つNortek社独自の広帯域ドップラー音響信号処理プラットフォームです。

(1)マルチタスクと並列処理を可能にしたプロセッサ基板

 高い計測レートとピングごとに可変な帯域幅を持つ周波数変調信号処理機能を組み合わせることができました。
これにより、従来のDVLに比べて計測性能が向上するとともに、従来のDVLでは実現できなかったアプリケーションへの対応が可能になりました。

 

(2)消費電力コントロール機能

用途に応じて消費電力を最適化する機能を搭載しているため、幅広い用途に対応しながら消費電力を最小化できるようになりました。他社製品に対しておよそ1/2~1/3の消費電力※が実現できることで、業界で最小クラスの大きさにもかかわらず、運用時間がこれまでのものより長くすることができました。

※:計測時の設定に依存しますが、同程度の周波数、出力、計測レート設定に対して、他社製品に対して消費電力を抑えることに成功しました。

(3)イーサネット/シリアル通信の実装

イーサネット、およびシリアル通信(RS-232/422)の両方が可能で、従来よりも本体へのアクセス条件に対し制限が少なくなりました。また設定や状態確認はWebブラウザから行うこともでき、アクセスや設定が簡単になったとともに高速なデータのダウンロードも可能となっています。

(4)ローデータの収録

高速処理と大容量記録メモリの搭載が実現したことで、全4つの音響チャンネルのローデータ(ディジタルサンプリングデータ)とセンサー(水温・圧力・方位・傾斜計)のデータを収録できます。このため、ローデータから魚群や水中浮遊物の影響を除き、データの品質を改善することが容易となりました。

テクノロジー

(1)DVLとADCP(Acoustic Doppler Current Profiler、音響ドップラー流向流速計)の違い

DVLは船やROVなどの移動プラットフォームの底面に設置し、移動しながら海底方向に音波を放射することで、海底又は水中微粒子からの反射散乱波とのドップラーシフト量を算出して対地速度または対水速度を算出します。
ADCP(Acoustic Doppler Current Profiler、音響ドップラー流向流速計)が海底に設置され、海底に対する水中(の微粒子)の移動速度を算出するのに対して、DVLはプラットフォームの海底、又は水に対する一定時間ごとの移動距離を推定し、そこから「推測航法」で現在の位置を計算する手段を提供します。

(2)ナビゲーション品質向上とDVL

水中のAUVおよびROVの運用では、ナビゲーションシステムは通常DVLに加えて慣性航法装置(Inertial Motion Unit、IMU)、音響測位、方位、深度、および高度計などから構成されます(中でも慣性航法装置は必須といえます)。
プラットフォームの水中における運動は、これらの位置、速度が時間とともに正確に推定できることで正確な軌道が得られ、結果としてそのときに計測したデータ(地形の凹凸、底質、サイドスキャンソナー画像など)は正確な位置情報をもってマッピングされます。

しかし、実際のところはこれらの情報は観測結果として得られるものであり、常に何らかの不確定性(Uncertainty)を含むため、時々刻々と観測した結果から可能な限り正しいと思われる推定状態(位置、速度)を求めていくこと(最尤推定)が、観測学上の至上課題となります。
このような問題を解決する方法の一つとしては「カルマンフィルタ」のような逐次推定アルゴリズムが最もよく実用化されています。運動方程式が線形で観測結果の長時間平均がほぼ0で、標本偏差が有限である場合には、カルマンフィルタによる運動モデルを作ることが可能になります。IMUなどに比べて出力レートの遅いDVLが主としてナビゲーションシステムで利用されるのはこの特徴のためです。

(3)Nortek社製DVLが高品質な理由

Nortek社のDVLは、それぞれのトランスデューサから送受信される音響ビームの品質を出荷前に統計的に評価しており、1ピングごとにビームのFOM(Figure Of Merit、性能指数)を算出しています。このFOMは理想的な計測ができているほど高い数値を示すNortek社独自の評価指標で、DVLによる対地・対水速度の計算ではこのFOMも考慮して算出するため、常に品質のいい速度情報を出すことが可能となります。
これが、Nortek社製のDVLによるナビゲーション補正の性能が他社製品と比べて優秀である理由の一つです。

仕様

  DVL1000 DVL500
周波数 1MHz 500kHz
最小高度 0.2m 0.3m
最大高度 75m 200m
速度分解能 0.01mm/s 0.01mm/s
サンプリングレート 最大8Hz 最大8Hz
長時間平均精度 ±0.1% / ±0.1cm/s ±0.1% / ±0.1cm/s
流速計測レンジ 30m 70m
ブランキング 0.1m 0.5m
セルサイズ 0.2 ~ 2.0m 0.5 ~ 4.0m
最大セル数 150 140
流速分解能 0.1cm/s 0.1cm/s
内蔵センサ 水温計、水圧計 水温計、水圧計
空中重量 1.3kg / 2.7kg 3.5kg / 5.9kg
水中重量 0.15kg / 1.7kg 0.5kg / 3.1kg
耐圧 300m / 4000m 300m / 6000m