VDIが遅い原因はどこにある?仮想基盤・ネットワーク・アプリケーションの切り分けポイント
VDIを利用していると、「画面の反応が遅い」「ログオンに時間がかかる」「特定のアプリケーションだけ重い」といった問い合わせが発生することがあります。
しかし、VDIの遅延は原因の切り分けが難しいことがあります。クライアント端末やネットワークだけでなく、仮想デスクトップ、ホスト、クラスタ、ストレージ、アプリケーションなど、複数の要素が関係するためです。
そのため、VDIのトラブルシュートでは、単に「サーバが重い」「ネットワークが遅い」と判断するのではなく、どこで遅延が発生しているのかを段階的に確認することが重要です。
この記事のポイント
- VDIが遅くなる主な原因を整理します。
- ネットワーク、仮想基盤、アプリケーションの切り分けポイントを紹介します。
- uObserveを活用した確認の流れを紹介します。
VDIが遅いときに考えられる主な原因
VDIの体感遅延には、さまざまな原因があります。代表的なものとして、以下が挙げられます。
- 仮想デスクトップのCPU使用率が高い
- メモリ不足により処理が遅くなっている
- ストレージI/Oの遅延が発生している
- 画面転送プロトコルで遅延やパケットロスが発生している
- アプリケーション側の応答が遅い
- 通信先サーバの処理が遅い
- 特定のホストやクラスタに負荷が集中している
- ログオン処理に時間がかかっている
このように、VDIの遅延は1つの原因だけでなく、複数の要素が重なって発生することがあります。
「ユーザーが遅いと感じている時間」を分解する
VDIの遅延調査では、まずユーザーが感じている応答時間を分解して考えることが有効です。
たとえば、uObserveではユーザーの応答時間を、アプリケーション応答時間やネットワーク遅延時間などに分けて確認できます。

ユーザエクスペリエンス画面構成
ユーザーが「遅い」と感じている場合でも、実際には以下のように原因が異なる可能性があります。
- アプリケーションの処理に時間がかかっている
- ネットワーク遅延が大きい
- データ転送に時間がかかっている
- 仮想デスクトップ側のリソースが不足している
- 通信先サーバの応答が遅い
このように応答時間を分解することで、調査対象を絞り込みやすくなります。
Horizon環境ではセッション単位の確認が重要
Omnissa Horizon環境では、VDI全体の状況だけでなく、セッション単位での確認も重要です。
全体としては問題がないように見えても、特定のプール、特定のセッション、特定の画面転送プロトコルだけで遅延やロスが発生している場合があります。

Horizon Sessionサマリ画面
確認すべきポイントとしては、以下があります。
- セッション数の推移
- セッションステータス
- ログオン時間
- 利用している画面転送プロトコル
- BlastやPCoIPのラウンドトリップタイム
- BlastやPCoIPのパケットロス率
- VDI仮想マシンのCPU、メモリ、ストレージの状態
- セッションごとの通信状況
これらを確認することで、「VDI全体の問題なのか」「特定ユーザー・特定セッションの問題なのか」を切り分けやすくなります。
ネットワーク起因か、仮想基盤起因かを切り分ける
VDIの遅延では、ネットワークの問題と仮想基盤の問題を混同しないことが重要です。
たとえば、画面転送プロトコルのラウンドトリップタイムやパケットロス率が悪化している場合、ネットワーク経路や通信品質が影響している可能性があります。

Blastタブ
一方で、ネットワークの値に大きな問題がないにもかかわらず操作が重い場合は、仮想デスクトップ側のCPU、メモリ、ストレージ、アプリケーション処理などを確認する必要があります。
このように、ネットワークと仮想基盤の情報をあわせて確認することで、原因の見落としを減らせます。
切り分けの考え方
- RTTやパケットロスが悪化している場合:ネットワーク経路や通信品質を確認
- ネットワークに大きな問題がない場合:CPU、メモリ、ストレージ、アプリケーション処理を確認
- 特定ユーザーだけで発生する場合:セッション単位、端末、利用アプリケーションを確認
- 複数ユーザーで発生する場合:ホスト、クラスタ、ストレージ、ネットワーク全体を確認
CPU・メモリ・ストレージの状態を確認する
仮想デスクトップ側に原因がありそうな場合は、CPU、メモリ、ストレージの状態を確認します。
CPUについては、仮想マシン単体の使用率だけでなく、ホストやクラスタ側の状態もあわせて確認することが重要です。仮想マシン単体のCPU使用率が高いのか、ホストやクラスタ全体に負荷がかかっているのかによって、対応方法が変わるためです。

CPU解析画面
メモリについても同様に、仮想マシン、ホスト、クラスタのどこでリソース不足が発生しているのかを確認します。

メモリ解析画面
ストレージでは、IOPSの状況や読み出し・書き込み遅延を確認します。ストレージ遅延が発生している場合、特定の仮想ディスク、データストア、ホストに影響が出ている可能性があります。

ストレージ解析画面
アプリケーション側の遅延も確認する
VDIの遅延は、必ずしもVDI基盤そのものが原因とは限りません。ユーザーが利用しているアプリケーションや、通信先サーバの応答が遅いことで、VDI全体が遅く感じられる場合もあります。
この場合、アプリケーション応答時間や不良トランザクションを確認することで、どの通信や処理に時間がかかっているのかを把握しやすくなります。

アプリケーション応答時間確認画面
たとえば、特定のクライアントからのリクエストに対する応答が遅い場合、VDI基盤ではなく、アプリケーションサーバや通信先サービス側に原因がある可能性もあります。
uObserveを使った切り分けの流れ
uObserveでは、ダッシュボードから異常のある仮想マシンやサービスを確認し、ルートコーズビューで原因候補を掘り下げることができます。

Performanceダッシュボード画面


調査の流れは、たとえば以下のようになります。
- Performanceダッシュボードで、ヘルス状態が悪化している仮想マシンやサービスを確認する
- エンティティ情報ダイアログで、問題が発生しているサービスやリソースを確認する
- ルートコーズビューで、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク、依存先サービスの状態を確認する
- CPU使用率やCPUレディ値などの時系列グラフを確認する
- 仮想マシン単体の問題か、ホスト・クラスタ側の問題かを確認する
- 不良トランザクションを確認し、応答が遅い通信やアプリケーションを把握する
- 必要に応じて、プロセス単位のCPU・メモリ使用率を確認する

このように、ユーザーの体感遅延から、ネットワーク、仮想基盤、アプリケーション、プロセスの状態まで順番に確認することで、原因候補を絞り込みやすくなります。
まとめ
VDIの「遅い」という問い合わせは、原因が一見分かりにくいことが多くあります。ネットワーク、仮想デスクトップ、ホスト、クラスタ、ストレージ、アプリケーションなど、複数の要素が関係するためです。
そのため、VDIのトラブルシュートでは、以下の観点で切り分けることが重要です。
- ユーザーが感じている応答時間はどこで発生しているのか
- 画面転送プロトコルに遅延やパケットロスがないか
- 特定のセッションだけで問題が発生していないか
- 仮想デスクトップのCPU、メモリ、ストレージに問題がないか
- ホストやクラスタ側に負荷が集中していないか
- アプリケーションや通信先サーバの応答が遅くないか
uObserveを活用することで、VDI環境の状態を複数の視点から可視化し、遅延原因の切り分けを支援できます。
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